【No363】医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算の見直しについて
令和7年3月3日に行われた第4回電子処方箋推進会議において、電子処方箋の現況と令和7年度の対応が議題に上がりました。今回の医業経営FPNewsではその内容にも触れながら、令和7年4月より要件等が見直された医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算についてご案内します。
1.電子処方箋の普及状況
令和7年2月23日現在の電子処方箋の普及状況は下表のとおりです。全国52,854施設(24.9%)で電子処方箋が運用開始済みであり、その内訳は病院416施設(5.2%)、医科診療所10,060施設(12.1%)、歯科診療所1,348施設(2.2%)、薬局41,030施設(67.9%)となっております。
なお、電子処方箋の概要や補助事業につきましては、
医業経営FPNews№222、№249、№271、№279、№310、№334、№341、№356でご案内しておりますので、併せてご覧ください。
厚生労働省「電子処方箋の現況と令和7年度の対応」P.3より画像引用
2.医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算の見直し
令和7年4月1日より医療DX推進体制整備加算と在宅医療DX情報活用加算が見直しとなり、医療DX推進体制整備加算4~6などの新設や要件等の変更が行われました。
なお、医療DX推進体制整備加算の概要等につきましては、医業経営FPNews№323、№333でご案内しておりますので、併せてご覧ください。
見直し後の点数は次のとおりです。電子処方箋の要件は、電子処方箋システム一斉点検の実施を踏まえた対応や電子処方箋に関する令和7年度の対応を踏まえつつ、電子処方箋管理サービスへの登録の手間を評価する観点から変更となっております。
電子処方箋要件(医科・歯科)
電子処方箋を発行する体制又は調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録する体制を有していること。(加算1~3のみ、加算4~6は電子処方箋要件なし)
電子処方箋要件(調剤)
電子処方箋を受け付け、当該電子処方箋により調剤する体制を有するとともに、紙の処方箋を受け付け、調剤した場合を含めて、原則として、全てにつき調剤結果を速やかに電子処方箋管理サービスに登録すること。(加算1~3のみ)
近畿厚生局「医療DX推進体制整備加算等の周知資材について」P.2より画像引用
(※)在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の1、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の2、在宅患者訪問診療料(Ⅱ)及び在宅がん医療総合診療料を算定する患者が対象
電子処方箋要件(医科・歯科訪問診療科)
電子処方箋を発行する体制又は調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録する体制を有していること。(加算1のみ、加算2は電子処方箋要件なし)
近畿厚生局「医療DX推進体制整備加算等の周知資材について」P.3より画像引用
また、マイナ保険証利用率の実績要件についても、令和6年12月2日からマイナ保険証を基本とする仕組みへと移行したことやこれまでの利用率の実績を踏まえつつ、今後もより多くの医療機関・薬局が医療DX推進のための体制を整備するために見直しが行われました。なお、令和7年10月以降のマイナ保険証利用率の実績要件は、附帯意見を踏まえ、本年7月を目途に検討・設定される予定です。
※1 加算1~3における令和7年1~3月のマイナ保険証利用率実績。
※2 「小児科特例」:小児科外来診療料を算定している医療機関であって、かつ前年(令和6年1月1日から同年12月31日まで)の延外来患者数のうち6歳未満の患者の割合が3割以上の医療機関においては、令和7年4月1日から同年9月30日までの間に限り、「15%」とあるのは「12%」とされます。
近畿厚生局「医療DX推進体制整備加算等の周知資材について」P.2より画像引用
3.令和7年度における電子処方箋の導入補助について
令和7年度における医療情報化支援基金(ICT基金)による電子処方箋に関する導入補助について、「電子処方箋の新たな目標については、令和7年夏を目処に見直しを行う」としていることを踏まえて、目標の見直しまでの間として、令和7年9月までに電子処方箋を導入した施設が補助対象とすることとなりました。
併せて、令和6年度補正予算で措置している電子処方箋の活用・普及の促進事業(都道府県による導入助成)の補助要件についても、当初想定していた「令和7年3月までに電子処方箋を導入した施設」から「令和7年9月までに電子処方箋を導入した施設」に変更されました。
加えて、令和6年度補正予算で措置している電子処方箋の機能拡充・促進事業(追加機能部分のみの導入補助)について、院内処方機能を対象に加えて、引き続き補助事業が実施されることとなりました。
なお、令和7年10月以降の医療情報化支援基金(ICT基金)における導入補助の取扱いについては、令和7年夏を目処に見直しを行う電子処方箋の新たな目標を踏まえて、改めて検討することとされています。
厚生労働省「電子処方箋の現況と令和7年度の対応」P.11より画像引用
(文責:税理士法人FP総合研究所)