【No359】介護サービス事業者の経営情報の報告義務化

令和5年5月に「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」が公布され、介護サービス事業者の経営情報の報告が義務付けられました。

令和6年3月31日から令和6年12月31日までに終了する事業年度については、令和7年1月から3月の間に、また令和7年1月1日以降に終了する事業年度については、決算終了後3か月以内にそれぞれ報告が必要となります。

今回はその制度概要等についてご案内致します。

1.制度の概要

2040年を見据えた人口動態等の変化、生産年齢人口の減少と介護現場における人材不足の状況、新興感染症等による介護事業者への経営影響を踏まえた支援、制度の持続可能性などに的確に対応するとともに、物価上昇や災害、新興感染症等に当たり経営影響を踏まえた的確な支援策の検討を行う上で、3年に1度の介護事業経営実態調査を補完するために、介護サービス事業者の経営情報の収集及びデータベースの整備をし、収集した情報を国民に分かりやすくなるよう属性等に応じてグルーピングした分析結果を公表する制度として創設されました。

厚生労働省「介護サービス事業者経営情報データベースシステム (3)制度の概要」参照

2.報告の対象と報告方法・内容

(1)報告の対象となる介護サービス事業者

原則としてすべての介護サービス事業者が報告の対象となります。ただし、以下の基準に該当する介護サービス事業者については、例外的に報告を求めないこととされています。

① 当該会計年度に提供を行った介護サービスに係る費用の支給の対象となるサービスの対価として支払いを受けた金額が100万円以下である者 

② 災害その他都道府県知事に対し報告を行うことができないことにつき正当な理由がある者

厚生労働省「介護保険法第115条の44の2の規定に基づく 介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等に関する制度に係る 実施上の留意事項について」2頁から引用

(2)報告の単位

介護サービス事業者経営情報の報告は、原則、介護サービス事業所・施設単位で行うものとするが、事業所・施設ごとの会計区分を行っていない場合などのやむを得ない場合については、法人単位で報告することとしても差し支えないものとされています。

厚生労働省「介護保険法第115条の44の2の規定に基づく 介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等に関する制度に係る 実施上の留意事項について」2頁参照

(3)報告方法

報告は、介護サービス事業者経営情報データベースシステムにログインして行うことになっています。

ログインに際しては、GビズID(GビズIDプライム)のアカウント取得が必要となります。

GビズID(GビズIDプライム)のアカウント取得方法については、リンク先の「介護サービス事業者経営情報 データベースシステムGビズID等取得の手引き」よりご確認ください。

なお、GビズID(GビズIDプライム)はオンライン申請の場合は即日に発行することが可能ですが、現在、医療法人、社会福祉法人及び社団法人などはオンラインでのアカウント発行の対象外となっています。

郵送による申請書類がGビズID運用センターに到着した後、書類に不備がない場合には、原則として2週間以内に審査しGビズID(GビズIDプライム)を発行することになっていますが、経営情報の報告期限に間に合うように余裕をもってご準備ください。

厚生労働省「介護サービス事業者経営情報データベースシステム (1)事業者の皆様へ」参照

3.さいごに

介護サービス事業者の経営情報の報告は、令和6年3月31日から令和6年12月31日までに終了する事業年度について初年度の報告となります。報告内容や報告手順の詳細については、厚生労働省や各都道府県の担当部署が公表しているマニュアル等をご確認いただき、必要に応じてお問合せの上、作成・提出を行ってください。

(文責:税理士法人FP総合研究所)