【No358】ウェブサイトにおける医療広告規制の違反事例
令和6年3月28日に厚生労働省が「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)」を公表しております。今回の医業経営FPNewsでは、医業経営FPNews No.238に引き続き、医療法における広告規制についてウェブサイト等の違反事例のうち限定解除要件に関する部分を中心にご案内します。
1.はじめに
平成30年6月1日に施行された医療法の改正により、医療法における広告規制の対象が「広告」から「広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」に変更されております。そのため、従来、ウェブサイト等は医療法における広告規制の対象とされておりませんでしたが、広告規制の対象となっております。
ただし、ウェブサイト等の広告可能事項を他の広告媒体と同様に限定してしてしまうと、患者が求める情報(詳細な診療内容など)の適切な提供が妨げられるおそれがあります。そのため、患者が適切に医療を選択することが阻害されるおそれが少ない場合で、次の要件を満たすときは、広告可能事項の限定を解除することが可能です。
【限定解除要件】
① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること
③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
なお、今回の医業経営FPNewsで紹介する事例は、以下の点を注意する必要があります。
・限定解除要件を満たすことによって広告が可能になる事例が多いこと
・限定解除要件のうち、一般的なウェブサイト等は原則として①の要件を満たすことから、②から④を対象とする事例紹介が含まれること
厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)」4頁を参照
2.ウェブサイトにおける事例
(1)限定解除要件②の記載が不適切な事例
医療広告ガイドラインで必要とされている「表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載すること」の記載が不十分であるため、上記の限定解除要件のうち②を満たしていない事例になります。
また、本事例は、厚生労働大臣が届出を受理していない団体が認定する専門医資格を有する旨等を表記していることから、この点についても上記の限定解除要件のうち②を記載する必要があります。
厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)」35頁から引用
(2)限定解除要件③の記載が不適切な事例
医療広告ガイドラインで必要とされている「通常必要とされる治療等の内容」の記載が不十分であるため、上記の限定解除要件のうち③を満たしていない事例になります。
厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)」38頁から引用
(3)限定解除要件④の記載が不適切な事例
医療広告ガイドラインで必要とされている「主なリスク、副作用等」の記載が不十分であるため、上記の限定解除要件のうち④を満たしていない事例になります。
厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第4版)」41頁から引用
(文責:税理士法人FP総合研究所)