【No357】令和7年度予算案の概要

厚生労働省は、令和7年2月3日に第33回社会保障審議会を開催し、令和7年度予算案の概要の説明を行いました。今回の医業経営FPNewsでは医療機関に関係のある項目を抜粋してご案内します。

1.令和7年度厚生労働省予算案の全体像

令和7年度の予算案における総額は、一般会計で34兆2,904億円となり、令和6年度予算額33兆8189億円と比べ、4,715億円増加しています。特別会計は、年金特別会計が令和7年度予算案で72兆1,786億円となり令和6年度予算額72兆7,084億円と比べ5,298億円減少しています。その他の金額は下記の表をご覧ください。

厚生労働省「令和7年度予算案の概要」P.1より引用

2.令和7年度厚生労働省予算案における重点事項(ポイント)

少子高齢化・人口減少時代に合っても、

〇今後の人口動態や経済社会の変化を見据えた保健・医療・介護の構築や包摂社会を実現するとともに、

〇持続的・構造的な賃上げに向けた三位一体の労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進を通じて国民一人ひとりが、安心して生涯活躍できる社会の実現に向け、以下を柱に予算措置を行う。

厚生労働省「令和7年度予算案の概要」P.3より引用

(1)創薬力強化に向けたイノベーションの推進と医薬品の安定供給確保※( )内は令和6年度当初予算額

ドラッグラグ・ドラッグロスの解消に向けて、有望シーズの実用化促進、研究開発環境の整備による創薬力の抜本的強化を図るとともに、医薬品等の安定的な供給を実現する。

〇有望なシーズの医薬品・医療機器等への実用化の促進 77億円(71億円)

・次世代バイオ医薬品の製造・開発を担う人材の育成支援

・医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO)の機能強化

・小児・希少疾病用医薬品等におけるドラッグロス解消に向けた取組の強化

・医薬品・医療機器開発におけるレジストリ(疾患登録システム)の利活用を加速させるクリニカル・イノベーション・ネットワーク構想の推進

・創薬力強化に向けた早期薬事相談・支援の強化

・リアルワールドデータの薬事活用・プログラム医療機器の早期実現化に向けた取組の促進

・再生・細胞医療・遺伝子治療の実用化の促進等

 〇医薬品等の安定供給の促進 4.4億円(1.7億円)

・医薬遺品の供給状況把握のための体制整備

・後発医薬品の信頼確保のための体制・取組の強化

・献血血液の確保対策 等

厚生労働省「令和7年度予算案の概要」P.4より引用

厚生労働省「令和7年度予算案の主要項目」P.19、P.20より引用

(2)医療・介護におけるDX、地域医療・介護の基盤強化の推進等

医療・介護におけるDXの推進等により、生産性の向上を図るとともに、安心で質の高い医療・介護サービスの提供を図る。また、高齢化の更なる進展や人口減少に対応するため、限りある資源を有効に活用しながら、質の高い効率的な医療・介護サービスの提供体制を確保する。そのため、地域医療構想の推進や地域包括ケアシステムの構築等に向けた施策を推進する。

〇医療・介護分野におけるDXの推進等  49億円(201億円)

・科学的介護推進のためのデータベースの機能拡充

・介護分野におけるテクノロジー開発・導入促進に向けた支援の推進

・医療機関等におけるサイバーセキュリティ対策の強化 等

厚生労働省「令和7年度予算案の概要」P.4より引用

厚生労働省「令和7年度予算案の概要」P.33より引用

(文責:税理士法人FP総合研究所)