【No354】かかりつけ医機能報告制度について
かかりつけ医機能報告制度が、「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和5年法律第31号)」により創設され、令和7年4月から施行されることとなります。本制度の概要は、医業経営FPNewsNo.299をご確認ください。今回は本制度の報告事項についてご案内します。
1.報告対象となる医療機関
対象は、病院・診療所(特定機能病院・歯科医療機関を除きます)になります。なお、無床診療所も含まれます。
2.報告事項
報告事項は、1号機能と2号機能の2つに分かれています。1号機能ですべての報告事項が「可」の場合は、「1号機能を有する医療機関」として、次の2号機能報告を行います。
■ 1号機能
医療機関が対応できる診療内容や疾患を報告します。これにより、患者は診療科だけでなく、傷病名からも医 療機関を探せるようになります。
・医療機関からの報告事項
(1)「具体的な機能」を有すること及び「報告事項」について院内掲示していること
(2)かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無、総合診療専門医の有無
(3)17の診療領域※1ごとの一次診療の対応可能の有無、いずれかの診療領域について一次診療を行うことができること
(4)一次診療を行うことができる疾患
(5)医療に関する患者からの相談に応じることができること
※1 皮膚・形成外科領域、神経・脳血管領域、精神科・神経科領域、眼領域、耳鼻咽喉領域、呼吸器領域、消化器系領域、肝・胆道・膵臓領域、循環器系領域、腎・泌尿器系領域、産科領域、婦人科領域、乳腺領域、内分泌・代謝・栄養領域、血液・免疫系領域、筋・骨格系及び外傷領域、小児領域
厚生労働省「令和6年10月18日かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」P.26より引用
■ 2号機能
2号機能報告では、次の4項目について、自院の独自体制や他院等との連携による体制の確保状況、関連した診療報酬の算定状況等を報告することとなります。
・医療機関からの報告事項
(1)通常の診療時間外の診療
①自院又は連携による通常の診療時間外の診療体制の確保状況(在宅当番医制・休日 夜間急患センター等に参加、自院の連絡先を渡して随時対応、自院での一定の対応に加えて他医療機関と連携して随時対応等)、連携して確保する場合は連携医療機関の名称
②自院における時間外対応加算1~4の届出状況、時間外加算、深夜加算、休日加算の算定状況
(2)入退院時の支援
①自院又は連携による後方支援病床の確保状況、連携して確保する場合は連携医療機関の名称
②自院における入院時の情報共有の診療報酬項目の算定状況
③自院における地域の退院ルールや地域連携クリティカルパスへの参加状況
④自院における退院時の情報共有・共同指導の診療報酬項目の算定状況
⑤特定機能病院・地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関から紹介状により紹介を受けた外来患者 数
(3)在宅医療の提供
①自院又は連携による在宅医療を提供する体制の確保状況(自院で日中のみ、自院で24時間対応、自院での一定の対応に加えて連携して24時間対応等)、連携して確保する場合は連携医療機関の名称
②自院における訪問診療・往診・訪問看護の診療報酬項目の算定状況
③自院における訪問看護指示料の算定状況
④自院における在宅看取りの実施状況
(4)介護サービス等と連携した医療提供
①介護サービス等の事業者と連携して医療を提供する体制の確保状況(主治医意見書の作成、地域ケア会議・サービス担当者会議等への参加、介護支援専門員や相談支援専門員と相談機会設定等)
②介護支援専門員や相談支援専門員への情報共有・指導の診療報酬項目の算定状況
③介護保険施設等における医療の提供状況(協力医療機関となっている施設の名称)
④地域の医療介護情報共有システムの参加・活用状況
⑤ACPの実施状況
厚生労働省「令和6年10月18日かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」P.27より引用
■ その他の報告事項
1号機能と2号機能に加え、その他の報告事項として、以下も挙げられています。
(1)健診、予防接種、地域活動(学校医、産業医、警察業務等)、学生・研修医・リカレント教育等の教育活動 等
(2)1号機能及び2号機能の報告で「当該機能有り」と現時点でならない場合は、今後担う意向の有無
厚生労働省「令和6年10月18日かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」P.27より引用
3.スケジュール
初回のかかりつけ医機能報告は、令和8年1月から3月にかけて実施される予定です。期限までに報告が完了していない医療機関に対しては、都道府県から提出の催促が行われますので、ご注意ください。
今後のスケジュールは、以下のとおりです。
厚生労働省「令和6年10月18日かかりつけ医機能報告制度に係る第1回自治体向け説明会」P.22より引用
(文責:税理士法人FP総合研究所)