【No352】医療分野の生産性向上・職場環境改善等による更なる賃上げ等の支援について
令和6年12月17日に令和6年度補正予算が成立しました。今回の医業経営FPNewsでは、その補正予算の中から医療分野の生産性向上・職場環境改善等による更なる賃上げ等の支援についてご案内します。
1.人口減少や医療機関の経営状況の急変に対応する緊急的な支援パッケージ
(1)施策の目的
効率的な医療提供体制の確保を図るため、医療需要の急激な変化を受けて病床数の適正化を進める医療機関は、診療体制の変更等による職員の雇用等の様々な課題に対して負担が生じるため、その支援を行います。
また、現下の物価高騰を含む経済状況の変化により、地域医療構想の推進や救急医療・周産期医療体制の確保のための施設整備等が困難となっている場合への対応を図ります。
加えて、賃上げ等のための生産性向上の取組を支援し、医療人材の確保・定着を図ります。
(2)施策の概要
生産性向上・職場環境整備支援
生産性向上・職場環境整備等事業:設備導入や生産性向上の取組を進める医療機関等(ベースアップ評価料算定機関)を支援し、生産性向上・賃上げを図ります。
経営状況の急変等を踏まえた支援
➀医療需要等の変化を踏まえた医療機関に対する支援
→患者減少等により経営状況の急変に直面している医療機関への支援を実施するとともに、現下の物価高騰を含む経済状況の変化により施設整備等が困難な病院等への支援を行います。
➁産科・小児科医療確保事業
→急激な分娩減少などにより特に支援が必要な産科・小児科に対して支援を実施します。
2.人口減少や医療機関の経営状況の急変に対応する緊急的な支援パッケージ (生産性向上・職場環境整備等事業)
(1)施策の目的
賃上げ等のための生産性向上の取組を支援し、医療人材の確保・定着を図ります。
(2)施策の概要
生産性向上に資する設備導入等の取組を進める医療機関等(ベースアップ評価料算定機関に限ります。)に対して経費相当分の給付金を支給し、生産性向上・職場環境整備等を図ります。
給付金の交付額
病院・有床診:4万円/病床数
診療所(医科・歯科)・訪問看護ステーション:18万円/施設
生産性向上に資する取組のイメージ
【ICT機器の導入による業務の効率化】
➀タブレット端末・離床センサー・インカム・WEB会議設備等の導入
→職員間の情報伝達の効率化(チーム医療の推進)
➁床ふきロボット・監視カメラ等の導入
→清掃業務・院内監視業務等の効率化
【タスクシフト/シェアによる業務の効率化】
医師事務作業補助者・看護補助者の配置
→医師・看護師の業務効率化(診断書作成、病室内の環境整備や看護用品の整理等)
※ 新たに配置する際に必要な経費の他、既に雇用している職員の人件費に充てることが可能
なお、ベースアップ評価料とは、看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種(40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者を除く)について賃上げを実施していくことを目的とした評価料です。医業経営FPNews No.319、No.337にて詳しくご案内しておりますので、リンク先よりご確認ください。
3.人口減少や医療機関の経営状況の急変に対応する緊急的な支援パッケージ (医療需要等の変化を踏まえた医療機関に対する支援)
(1)施策の目的
効率的な医療提供体制の確保を図るため、医療需要の急激な変化を受けて病床数の適正化を進める医療機関は、診療体制の変更等による職員の雇用等の様々な課題に対して負担が生じるため、その支援を行います。
また、現下の物価高騰を含む経済状況の変化により、地域医療構想の推進や救急医療・周産期医療体制の確保のための施設整備等が困難となっている場合への対応を図ります。
(2)施策の概要Ⅰ
患者減少等により経営状況の急変に直面している医療機関への支援として、医療需要の急激な変化を受けて病床数の適正化を進める医療機関を対象とした経費相当分の給付金を支給します。
給付金の交付額
病院(一般・療養・精神)・有床診:4,104千円/床
(3)施策の概要Ⅱ
現下の物価高騰を含む経済状況の変化により施設整備等が困難な病院等への支援として、整備計画を進めており、国庫補助事業の交付対象となる医療機関等を対象として、施設整備を進めるために必要な給付金を支給します。
給付金の交付額
(市場価格-補助事業単価)× 国負担分相当
4.人口減少や医療機関の経営状況の急変に対応する緊急的な支援パッケージ(産科・小児科医療確保事業)
(1)施策の目的
地域でこどもを安心して生み育てることのできる周産期医療体制及び地域の小児医療体制を確保します。
(2)施策の概要
特に分娩取扱施設が少ない地域等における分娩取扱機能の維持のための取組を支援します。また、地域の小児医療の拠点となる施設について、急激な患者数の減少等を踏まえた支援を行います。
厚生労働省「令和6年度補正予算について(報告)」P.3~6参照及び画像引用
(文責:税理士法人FP総合研究所)