【No349】令和5年医療施設調査結果について

厚生労働省より令和6年11月22日に、令和5年の医療施設(静態・動態)調査の結果(概況)が公表されました。今回の医業経営FPNewsでは、当該調査の概要と、結果の概要の一部をご案内いたします。

1.医療施設調査の概要

(1)調査の目的

この調査は、全国の医療施設(医療法(昭和23年法律第205号)に定める病院・診療所)の分布及び整備の実態を明らかにするとともに、医療施設の診療機能を把握し、医療行政の基礎資料を得ることを目的とします。

2)調査の沿革

この調査は、昭和23年に行われた「施設面からみた医療調査」を前身としており、昭和28年に医療施設調査となりました。  昭和48年から医療施設より提出される開設・廃止等の申請・届出に基づき「医療施設動態調査」(以下「動態調査」という。)を毎月実施するとともに、全医療施設の詳細な実態を把握することを目的とした 「医療施設静態調査」(以下「静態調査」という。)を昭和50年を始めとして3年ごとに実施することとし、現在に至っています。

(3)調査の種類、期間及び期日

静態調査(3年に1回):令和5年10月1日現在  

動態調査(毎月):令和4年10月1日~令和5年9月30日 

(4)調査の対象

静態調査:調査時点で開設している全ての医療施設  

動態調査:開設・廃止等のあった医療施設  

※ 医療施設には、往診のみの診療所を含みますが、助産所、介護老人保健施設、介護医療院及び保健所は除きます。 

(5)調査の事項

施設名、施設の所在地、開設者、診療科目、設備、従事者の数及びその勤務の状況、許可病床数、社会保険診 療等の状況、救急医療体制の状況、診療及び検査の実施の状況、その他関連する事項 

厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」1頁参照

2.結果の概要

(1)施設数の動向

2023年10月1日時点の全国の医療施設は179,834施設(前年比1,259施設減)でした。

このうち一般診療所は、有床が5,641施設(一般診療所総数の5.4%、前年比317施設減)、無床は99,253施設 (同94.6%、前年比29施設増)となっています。また、歯科診療所は66,818施設で、前年より937施設の減少となりました。

厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」7頁より画像引用

また、開設者別では、一般診療所は、医療法人が46,717施設(一般診療所総数の44.5%)と最も多く、個人が 39,208施設(同37.4%)です。歯科診療所は個人が最も多く49,522施設(歯科診療所総数の74.1%)で、医療法 人は16,677施設(同25.0%)でした。前年比では、一般診療所では医療法人が750施設増、個人が856施設減、歯科診療所は医療法人が436施設増、個人が1,374施設減となっています。

厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」8頁より画像引用

(2)診療所における診療科目別の施設数の動向

一般診療所の施設数を診療科目別にみると、最も多いのは内科の64,747施設で、一般診療所総数の61.7%を占めています。次いで、小児科の17,778施設(同16.9%)、消化器内科(胃腸内科)の17,028施設(同16.2%)となりました。

3年前の前回調査(2020年)と比べると、皮膚科が775施設増、美容外科が612施設増、内科が604施設増と増える一方で、小児科1,020施設減、消化器内科(胃腸内科)703施設減、外科632施設減などとなっています。

厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」10頁より画像引用

小児科、産婦人科、産科を標ぼうする一般診療所の施設数の推移は、下グラフのとおりです。

厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」11頁より画像引用

次に、歯科診療所の診療科目別にみた施設数(重複計上)は、下表のとおりとなりました。歯科と小児歯科の施設数が減少する一方で、矯正歯科と歯科口腔外科は増加し、いずれも約4割が標ぼうしています。

厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」10頁より画像引用

厚生労働省「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」6~11頁参照

(文責:税理士法人FP総合研究所)