【No332】令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について
令和6年7月25日に開催された第69回中央最低賃金審議会において、今年度の地域別最低賃金額改定の目安についての答申の結果が公開されました。
医療機関においては、いわゆる年収の壁の範囲内に収入がおさまるように労働時間を調整している方が多く勤務されています。
地域別最低賃金額改定は、賃金改定やそれに伴う労働時間や雇用人数の調整など、医療機関の運営上に大きな影響を及ぼす可能性がありますので、今回の医業経営FPNewsにおいては、この度の答申の内容についてご案内します。
1.引上げ額の目安について
地域別最低賃金額の各都道府県の引上げ額の目安については、都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCの3ランクに分けて、引上げ額の目安が提示されています。
今回の答申によると、引上げ額の目安はAランク、Bランク、Cランクともに50円となっています。
仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1,054円になります。この場合、全国加重平均の上昇額は50円(昨年度は43円)となり、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となります。また、引上げ率に換算すると5.0%(昨年度は4.5%)になります。
厚生労働省「令和6年度地域別最低賃金額の改定の目安について」より引用
2.各都道府県の最低賃金額
今回の答申はあくまでも目安であり、最終的には各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することになりますが、仮に目安どおりに上昇した場合の最低賃金額は以下のとおりです。
厚生労働省「令和5年度地域別最低賃金額改定状況」参照
3.最低賃金制度について
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。
「最低賃金法第四条第1項及び第2項」参照
そのため、使用者は、地域別最低賃金額の改定に際して、パートタイム労働者のように時給制で契約している方だけでなく、月給等の固定給制で契約をしている方の賃金についても同様に地域別最低賃金額を下回っていないか確認が必要になります。
最低賃金制度について使用者が確認すべき点については、以前の医業経営FPNewsNo.197において具体的にご案内していますので、リンク先をご参照ください。
(文責:税理士法人FP総合研究所)