【No320】生活習慣病管理料の改定と(Ⅱ)の新設について
令和6年度診療報酬改定において特定疾患療養管理料の対象疾患から生活習慣病を除外し、療養計画書への同意や診療ガイドラインを参考とすることを要件とした「生活習慣病管理料(Ⅱ)」が新設されることとなりました。今回の医業経営FPNewsでは生活習慣病管理料の内容と変更点を取り上げます。
1.概要
生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理及び重症化予防の取組を推進するため、主に以下の見直しを行うこととしています。
(1) 生活習慣病管理料(Ⅱ)の新設
検査等を包括しない生活習慣病管理料(Ⅱ)(333点、月1回に限る。)を新設する。
(2) 生活習慣病管理料の評価及び要件の見直し
・生活習慣病管理料における療養計画書を簡素化するとともに、令和7年から運用開始される予定の電子カルテ情報共有サービスを活用する場合、血液検査項目について記載を不要とする。
・診療ガイドライン等を参考として疾病管理を行うことを要件とする。
・生活習慣病の診療の実態を踏まえ、少なくとも1月に1回以上の総合的な治療管理を行う要件も廃止する。
・歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士等の多職種と連携することを望ましい要件とするとともに、糖尿病患者に対して歯科受診を推奨することを要件とする。
(3) 特定疾患療養管理料の見直し
特定疾患療養管理料の対象疾患から、生活習慣病である、糖尿病、脂質異常症及び高血圧を除外する。
(4) 特定疾患処方管理加算の見直し
リフィル処方及び長期処方の活用並びに医療DXの活用による効率的な医薬品情報の管理を適切に推進する観点から、処方料及び処方箋料の特定疾患処方管理加算について、28日未満の処方を行った際の特定疾患処方管理加算1を廃止し、特定疾患処方管理加算2の評価を見直す。また、特定疾患処方管理加算について、リフィル処方箋を発行した場合も算定を可能とする。
厚生労働省「令和6年度診療報酬改定 全体概要版」p.39参照
2.生活習慣病に係る疾病管理の点数変更について
・脂質異常症、高血圧、糖尿病の疾病管理に関して下記のとおり見直すとしています。
【現行】
「生活習慣病管理料」※検査等の費用を包括
(1) 脂質異常症を主病とする場合 570点
(2) 高血圧症を主病とする場合 620点
(3) 糖尿病を主病とする場合 720点
「特定疾患療養管理料(月2回算定可)」
(1) 診療所の場合 225点
(2) 100床未満の病院 147点
(3) 100床以上200床未満の病院 87点
特定疾患療養管理料の対象疾患から、生活習慣病である、脂質異常症、高血圧及び糖尿病を除外する。
【改定後】
「生活習慣病管理料(Ⅰ)」(月1回)
(1) 脂質異常症を主病とする場合 610点
(2) 高血圧症を主病とする場合 660点
(3) 糖尿病を主病とする場合 760点
「(新)生活習慣病管理料(Ⅱ)」(月1回) 333点
※検査等を包括しない出来高算定可能な医学管理料
厚生労働省「令和6年度診療報酬改定 全体概要版」p.40参照
3.生活習慣病管理料(Ⅱ)の算定要件及び施設基準について
【算定要件】
(1) 別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関(許可病床数が200床未満の病院又は診療所に限る。) において、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者(入院中の患者を除く。)に対して、当該患者の同意を得て治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する。ただし、糖尿病を主病とする場合にあっては、区分番号C101に掲げる在宅自己注射指導管理料を算定しているときは、算定できない。
(2) 生活習慣病管理を受けている患者に対して行った区分番号A001(再診料)の注8に掲げる医学管理及び第2章第1部医学管理等の費用は、生活習慣病管理料(Ⅱ)に含まれるものとする。
(3) 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行った場合は、所定点数に代えて、290点を算定する。
【施設基準】
(1) 生活習慣病管理に関する総合的な治療管理ができる体制を有していること。なお、治療計画に基づく総合的な 治療管理は、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等の多職種と連携して実施することが望ましい。
(2) 患者の状態に応じ、28日以上の長期投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が 可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示すること。※
(3) 生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行う場合に係る厚生労働大臣が定める施設基準
情報通信機器を用いた診療の届出を行っていること。
厚生労働省「令和6年診療報酬改定の概要(医科全体版)p.85参照
※院内掲示のイメージ
厚生労働省「令和6年度診療報酬改定に関する参考資料について」より引用
(文責:税理士法人FP総合研究所)