【No311】マイナ保険証の利用促進等について
厚生労働省は令和6年1月19日に第174回社会保障審議会医療保険部会を開き、マイナ保険証の利用促進等についての内容が示されました。今回はマイナ保険証の利用促進についての内容をご説明します。
1.改正マイナンバー法の施行
現行の健康保険証の廃止を定めるマイナンバー法等の一部改正法について、施行期日を令和6年12月2日とする施行期日政令が閣議決定されました。これにより、現行の健康保険証の発行については、令和6年12月2日で終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行されることとなります。
厚生労働省「マイナ保険証の利用促進等について」P3参照
2.オンライン資格確認の利用状況
令和5年12月分のオンライン資格確認の全体に占める利用状況については、病院で968,795件(10.6%)、医科診療所では3,673,587件(4.7%)、歯科診療所で1,139,873件(9.4%)、薬局では1,851,158件(2.3%)となっており、普及があまり進んでいません。
厚生労働省「マイナ保険証の利用促進等について」P4引用
3.マイナ保険証の利用促進について
厚生労働省は以下の利用促進対策を行っていくこととしています。
(1)医療機関・薬局におけるマイナ保険証の利用促進対策
【利用率目標の設定・インセンティブ等】
・令和6年1月以降の利用率が、令和5年10月の利用率から増加した医療機関に対し、増加量に応じた支援・診察券との一体化等への補助金を検討しています。
・令和6年度診療報酬改定で、医療DXの推進体制について新たな評価を行う中で、利用実績に応じた評価を検討中。
・全医療機関に対し、利用率の自主的な目標として活用できるよう、利用実績を通知する。(令和6年1月~)
・国所管団体が開設する公的医療機関に対し、令和6年5月末、11月末の利用率の目標設定を要請する。
※厚労省所管独法においては、令和6年度の年度計画に利用率に係る目標を盛り込む予定。
※厚労省所管法人の病院には、専用レーンの設定及び説明員の配置(令和6年1月中に最低1か所、令和6年2月中に原則全医療機関)を要請済み。
・利用できなかった事例への対応
→コールセンターへの情報提供に基づき地方厚生局から事実調査等、オンライン資格確認未導入施設への集団指導を検討。
【窓口対策の見直し】
・全医療機関等に以下の取組を要請し、令和6年2月から診療報酬をオンライン請求時に取組状況のアンケート調査を行う。
※窓口での声かけを「保険証、見せてください」から「マイナンバーカード(マイナ保険証)、お持ちですか」へ切換え
※マイナ保険証の利用を促すチラシ、ポスター等の院内配布、掲示等。
※医療機関HPの外来予約等の案内において、「マイナンバーカード」の持参を記載する。
(2)保険者・事業者におけるマイナ保険証の利用促進対策
【保険者による取組】
①マイナ保険証の利用率の目標設定(令和6年2月中を目途)→実績を保険者インセンティブ制度・業績評価等で評価
②マイナ保険証への意識転換を促す統一的なメッセージの動画を作成し、集中的に動画広報を展開する
③医療機関等にマイナ保険証を持参いただけるよう、ア~エによりメリット周知・利用の促進を進め、その実施状況について、全保険者に令和6年2月末までに調査を行う。
ア 加入者に向けたメール送信やチラシ配布等による利用勧奨
イ 限度額適用認定証の取得申請に係るホームページ等のご案内・認定証申請書様式・認定証送付時の同封書類の見直し(マイナ保険証を利用すれば限度額認定証が不要となる旨の記載)
ウ 保健事業実施時における利用勧奨
エ ホームページや利用の手引きを通じた利用勧奨
④ 国保直営診察施設におけるマイナ保険証の利用率の目標設定(令和6年2月中目途)
※併せて、マイナ保険証の専用レーン設定等の費用について財政支援を行う。
【事業者を通じた取組】
①健康経営優良法人認定制度における認定等の際の調査項目に追加(経済産業省)
※マイナ保険証利用促進・PHR活用推進の取組状況を調査する。
②厚生労働省・経済産業省・経済団体等のイベント・会合で、事業主・医療保険者に利用促進を呼びかける。
厚生労働省「マイナ保険証の利用促進等について」P9参照
4.マイナ保険証利用促進のための医療機関等への支援について
医療現場において、カードリーダーの操作に慣れない患者への説明など、マイナ保険証の利用勧奨に取り組んでいただくことで、マイナ保険証の利用促進を図ることとしています。そのインセンティブとなるよう、初診・再診におけるマイナ保険証の利用率増加に応じて、医療機関等に利用件数分の支援をすることとしています。
厚生労働省「マイナ保険証の利用促進等について」P28引用
5.マイナ保険証への円滑な移行に向けた対応
マイナ保険証への移行については、下記の表によるスケジュールを予定しています。
厚生労働省「マイナ保険証の利用促進等について」P12引用
(文責:税理士法人FP総合研究所)