【No292】次期診療報酬改定施行時期の後ろ倒しについて

 令和5年8月2日開催の中央社会保険医療協議会の総会において、令和6年度以降の診療報酬改定の実施時期を例年の4月1日から6月1日に後ろ倒しにする案が了承されました。今回の医業経営FPNewsでは、中央社会保険医療協議会において診療報酬改定時期を後ろ倒しするにあたって検討されている事項及びスケジュール(案)などをご紹介します。

1.診療報酬改定施行時期後ろ倒しに関する意見

 第543回中央社会保険医療協議会(令和5年4月26日開催)での診療報酬改定施行時期後ろ倒しに関する意見として以下の事項の必要性が挙げられました。

 ①医療現場へどのような影響があるのか等の検討。

 ②患者、医療機関・薬局が十分に理解して納得できるような制度設計についての周知。

 ③薬価改定や、それに関する調査の時期や期間等への影響の検討。

 ④4月改定を前提としたサイクルが変わることなどで、現場が混乱しないための丁寧な説明や配慮。

 ⑤医療機関・薬局やベンダだけでなく、診療報酬改定に合わせての基幹業務システムの改修対応や予算編成対応等、保険者の通常業務への影響に関する議論。

 ⑥薬価改定については、毎年薬価調査を実施し翌年度に薬価改定を行うサイクルを前提とすれば、4月に施行しないことによる薬価制度への影響の検討。

 また、薬価収載のタイミングは数か月に1回あり、4月改定を動かせば全体のバランスも崩れる懸念があり、薬価のシステム改修については、4月施行でも十分対応が可能であるとの意見も挙がりました。

厚生労働省「中央社会保険医療協議会 第551回総会資料」参照

2.診療報酬改定への対応状況(現状)

 現状、ベンダや医療機関等においては、診療報酬改定に短期間で集中的に対応するため、大きな業務負荷が生じており、改定施行日(4/1)からの患者負担金の計算に間に合うように、ソフトウェアを改修する必要があります。

 また、ソフトウェアのリリース後も、4月診療分レセプトの初回請求(5/10)までに、国の解釈通知等について更に対応が必要となっています。

厚生労働省「中央社会保険医療協議会 第551回総会資料」参照及び画像引用

3.診療報酬改定施行時期の後ろ倒し案

 診療報酬改定時期を2ヶ月後ろ倒し、6月施行となった場合のスケジュール(案)は下図のとおりとなります。

 令和5年8月2日開催の中央社会保険医療協議会の総会において、診療報酬改定DXの推進に向けて医療機関・薬局等やベンダの集中的な業務負荷を平準化するため、次期診療報酬改定の実施時期を従来の4月から6月に遅らせる案が了承されました。ただし、薬価改定については従来どおり4月に行われ、薬価調査を例年どおりに実施することが可能となっています。

 また、診療報酬改定の施行は後ろ倒しになりますが、6月施行の場合、経過措置は9月末を基本とし、年度内の検証調査が実施可能となります。

厚生労働省「中央社会保険医療協議会 第551回総会資料」参照及び画像引用

(文責:税理士法人FP総合研究所)