【No289】令和5年度医療機関に対する物価高騰対策支援金について

 医業経営FPNews No.262において、医療機関に対する物価高騰対策支援金についてご案内しましたが、令和5年3月22日に開催された第8回物価・賃金・生活総合対策本部では、追加策として「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」の増額が示されました。今回の医業経営FPNewsでは、その追加策の概要と、それを踏まえて現時点で発表されている各都道府県の物価高騰対策支援金についてご案内します。

1.「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」の追加策

 エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地方公共団体が地域の実情に合わせて必要な支援をきめ細やかに実施できるよう、「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」を1兆2,000億円増額するとともに、低所得世帯への支援のための「低所得世帯支援枠」を措置することとされています。

内閣官房「物価・賃金・生活総合対策本部(第8回)令和5年3月22日議事次第・資料」参照

 推奨事業メニューの中に「医療・介護・保育施設、学校施設、公衆浴場等に対する物価高騰対策支援」が含まれておりますが、具体的な支援対象や金額は国ではなく都道府県が決めることになっています。

 各自治体の支援対象、支援金額及び要件について、今回は東京都と大阪府、兵庫県の3例をご紹介させていただきます。

2.東京都での取り扱い

 東京都では、下記概要にて支援金の支給が決定しています。

【対象事業者】

 都内に開設している以下の医療機関等。ただし、東京都が開設している病院及び診療所を除きます。

 (1)病院、有床診療所、無床診療所及び歯科診療所

   健康保険法第63条第3項第1号に定める保険医療機関に限ります。

 (2)有床助産所及び無床助産所

   医療法第2条第1項に定める助産所に限ります。

 (3)施術所

   あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律又は柔道整復師法の規定に基づき開設している施術所のうち、療養費の受領委任の取扱いを行う施術所、又は、償還払による保険診療を行っている施術所に限ります。

【支援金の基準単価】

※休棟中の病床は含まない。

※支援金は、都の予算の範囲内において支給する。

【対象期間】

 令和5年4月1日(土曜日)から令和5年9月30日(土曜日)まで

東京都保健医療局「東京都医療機関等物価高騰緊急対策支援金」参照

3.大阪府での取り扱い

 大阪府では、下記概要にて支援金の支給が決定しています。

【支給対象施設】

 保険医療機関(病院、診療所)、保険薬局、助産所、施術所 (あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復)、 歯科技工所 、指定訪問看護事業所

 ※ただし、以下の医療機関等は対象外となります。

  ・国又は地方公共団体が開設者である医療機関等(指定管理を含みます。)

  ・受領委任取扱いの登録(承諾)を受けていない施術所

  ・介護保険適用の訪問看護のみを行っている指定訪問看護事業所

【支給要件】

 ・令和5年8月1日現在において支給対象施設として運営していること

 ・申請日時点において、廃止・休止の予定がないこと

【支給額】

【受付期間(予定)】

 令和5年8月21日(月曜日)から令和5年10月20日(金曜日)まで

大阪府「大阪府医療機関等物価高騰対策一時支援金について」参照

4.兵庫県での取り扱い

 兵庫県では、下記概要にて支援金の支給を予定しています。

【交付対象施設】

 病院又は診療所(医科・歯科)、施術所、助産所、訪問看護ステーション、歯科技工所並びに薬局のうち、令和5年6月1日時点で指定を受けており、かつサービスを提供している者(休止中を除きます。)

 (ただし、保険医療機関については、令和5年6月1日時点で保険請求を開始している施設を対象としています。)

【支給額】

【申請期間】

 令和5年8月21日(月曜日)から終了日未発表

兵庫県「令和5年度 医療機関等における原油価格・物価高騰対策一時支援金について(準備中)」参照

5.申請上の注意と各実施自治体の申請期間

 上記のように一定時点において、申請自治体内で運営されている保険医療機関であれば、大半が支給対象となりますが、細かな要件については各自治体ごとに異なっていますので、必ず公式サイト等でご確認ください。

 また、申請様式について、公式サイトで自らダウンロードする自治体もあれば、支給対象施設に対して自治体から申請書が郵送されている場合もあります。

 今回ご紹介しました都道府県が実施する物価高騰対策支援事業とは別に市町村単位で物価高騰対策支援事業を行っているケースも散見されます。この場合、どちらの支給要件にも該当する場合は重複して申請することが可能であるか別途確認が必要となります。そちらについてもあわせてご注意ください。

実施自治体

申請期間

公式サイト

東京都

令和5年4月1日から令和5年9月30日まで

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大阪府

令和5年8月21日から令和5年10月20日まで

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兵庫県

令和5年8月21日から(終了日未発表)

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福岡県

令和5年7月25日から令和5年11月30日まで

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佐賀県

令和5年8月9日から令和5年10月31日まで

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長崎県

令和5年7月18日から令和5年9月15日まで

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鹿児島県

令和5年12月22日まで

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香川県

令和5年8月1日から令和5年9月12日まで

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徳島県

令和5年9月30日まで

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山口県

令和5年6月1日から令和5年8月31日まで

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鳥取県

令和5年6月23日から令和5年9月29日まで

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和歌山県

令和5年8月15日から令和5年10月6日まで

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愛知県

令和5年7月10日から令和5年8月31日まで

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石川県

令和5年8月7日から令和5年12月27日まで

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富山県

令和5年6月26日から令和5年8月31日まで

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静岡県

令和5年8月7日から令和5年10月6日まで

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神奈川県

令和5年7月19日から令和5年10月31日まで

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埼玉県

令和5年7月20日から令和5年9月29日まで

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千葉県

令和5年8月7日から令和5年10月31日まで

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茨城県

令和5年8月7日から令和5年9月15日まで

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秋田県

令和5年8月7日から令和5年9月8日まで

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北海道

令和5年7月18日から令和5年8月31日まで

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(文責:税理士法人FP総合研究所)