【No276】新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う 医療提供体制及び公費支援の見直し等について
令和5年5月8日より新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更となりました。そこで、今後の医療提供体制や公費支援について厚生労働省が令和5年3月17日・4月20日に発表した「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の具体的内容について」の内容を抜粋してご案内します。
1.位置づけ変更に伴う医療提供体制の見直し
(1)基本的な考え方
厚生労働省は、位置づけの変更にあたって、下記のとおり基本的な考え方を示しています。
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更され、医療提供体制は入院措置を原則とした行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行していくこととなる。
・このため、新型コロナにこれまで対応してきた医療機関に引き続き対応を求めるとともに、新たな医療機関に参画を促すための取組を重点的に進め、暫定的な診療報酬措置を経て、令和6年4月の診療報酬・介護報酬の同時改定を通じて新型コロナ対応を組み込んだ新たな診療報酬体系による医療提供体制に移行させる。この間、感染拡大が生じうることも想定(※)し、感染拡大への対応や医療提供体制の状況等を検証した上で、その結果に基づき、必要な見直しを行う。
(※)位置づけ変更後の幅広い医療機関で新型コロナに対応する医療提供体制においても、引き続き感染拡大に対応できるようにすることが必要。
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけ変更に伴う医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について」より引用
(2)医療提供体制の見直し(外来・入院・入院調整)
現行では、約4.2万の医療機関が外来を行っていますが、位置づけ変更後は最大6.4万の医療機関での対応を目指します。入院については、現行約3,000の医療機関が対応を行っていますが、位置づけ変更後は約8,200の全病院での対応を目指すこととしています。なお、応招義務の整理(コロナへのり患又はその疑いのみを理由とした診療拒否は「正当な事由」に該当しないことを明確化)することとしています。具体的内容につきましては下記の表をご参照ください。
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う 医療提供体制及び公費支援の見直し等について(ポイント)」より引用
2.診療報酬の取扱い(新型コロナの診療報酬上の特例の見直し)
・新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけ変更に伴い、令和5年5月8日以降、以下の考えの下、診療報酬上の特例について見直しを行うこととしています。
・また、冬の感染拡大に先立ち、今夏までの医療提供体制の状況等を検証しながら必要な見直しを行うこととしています。その上で令和6年度診療報酬改定において、恒常的な感染症対応への見直しを行うこととしています。
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う 医療提供体制及び公費支援の見直し等について(ポイント)」より引用
3.患者等に対する公費支援の取扱い
5月8日以降につきましては、外来・入院共に自己負担が発生することとなります。75歳以上の1割負担及び70歳未満の3割負担のイメージは次のとおりです。
【位置づけ変更後(5/8~)の医療費のイメージ】
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う 医療提供体制及び公費支援の見直し等について(ポイント)」より引用
4.病原性が大きく異なる変異株が生じた場合の対応
厚生労働省は、病原性が大きく異なる変異株が生じた場合対応について、下記のとおり基本的な考え方を示しています。
・新型コロナの感染法上の位置づけを変更した後に、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど、科学的な前提が異なる状況になれば、ただちに必要な措置を講じる。
・具体的には、科学的知見や専門家の意見等を踏まえ、感染法上の入院勧告等の各種措置が必要になるかどうかも含めて速やかに検討し、必要があると認められれば、新型コロナウイルス感染症の発生時と同様に、新たな変異株を、まずは感染法上の「指定感染症」に位置づけることにより(政令で措置)、一時的に対策を強化する。
・指定感染症に位置づけたうえで、病状の程度が重篤で、全国的かつ急速なまん延のおそれがあると認められる場合には、厚生労働大臣から総理への報告を行い、新型インフル特措法に基づく政府対策本部及び都道府県対策本部を設置する。
※新たな変異株の特性等によっては、ただちに、「新型インフルエンザ等感染症」に位置づけることもあり得る。
・政府対策本部においては、基本的対処方針を定め、その中で、行動制限の要否を含めた感染対策について決定することとなる。
・加えて、新たな変異株の特性なども踏まえ、これまでの対応の知見等も活用しつつ、必要な方が適切な医療にアクセスできるよう、各都道府県と連携し、病床や外来医療体制の確保を行っていく。
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う 医療提供体制及び公費支援の見直し等について(ポイント)」より引用
(文責:税理士法人FP総合研究所)