【No274】「両立支援等助成金(育児休業等支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例))」について
医業経営FPNewsNo.265においてご案内いたしました新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金(令和5年3月31日終了)に引き続き、両立支援等助成金(育児休業等支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例))制度について厚生労働省より公表されましたので、ご案内します。
1.支給対象
新型コロナウイルス感染症への対応として、令和5年4月1日以降に臨時休業等をした小学校等に通う子どもの世話を行う従業員が休暇した場合に、有給(賃金全額支給)の休暇(労働基準法上の年次有給休暇を除く)を取得させた事業主
2.助成額
・労働者1人あたり10万円
※1事業主につき10人まで(上限100万円)
3.対象となる子ども
(1)新型コロナウイルス感染症への対応として、ガイドライン等に基づき、臨時休業等をした小学校等(※)に通う子ども
※ 小学校等:小学校、義務教育学校の前期課程、特別支援学校、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
(2)以下①から③のいずれかに該当し、小学校等を休むことが必要な子ども
①新型コロナウイルスに感染した子ども
②風症症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある子ども
③医療的ケアが日常的に必要な子ども又は新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患等を有する子ども
厚生労働省 両立支援等助成金(育児休業等支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例))ホームページより引用
4.支給要件
(1)以下の①及び②の措置を講じていること。
①小学校等(小学校、保育園、幼稚園など)が臨時休業等になった場合、及び子どもが新型コロナウイルス感染症に感染した又はそのおそれがある等の場合に、子どもの世話を行う必要がある労働者が、特別有給休暇(賃金が全額支払われるもの)を7日以上取得できる制度について規定化していること。
②小学校等が臨時休業等した場合でも勤務できる両立支援の仕組みとして、次のいずれかの措置についての社内周知をしていること。
・テレワーク勤務
・短時間勤務制度
・フレックスタイムの制度
・始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度)
・小学校等の休業期間に限定した短時間勤務・時差出勤の制度
・夜勤回数の制限
・労働者の子ども向けの保育施設の設置・運営
・ベビーシッター費用補助制度 等
また、①及び②に関する規定例・様式集として厚生労働省より案内がありますので併せてご案内します。
厚生労働省 両立支援等助成金 育児休業等支援コース「新型コロナウイルス感染症対応特例」のご案内より引用
5.申請期間
特別有給休暇を取得した日付に応じて申請期間が異なります。
厚生労働省 両立支援等助成金 育児休業等支援コース「新型コロナウイルス感染症対応特例」のご案内より引用
6.Q&A
厚生労働省より、本制度に関するQ&Aが公表されておりますので、一部抜粋してご案内いたします。
(1)Q:常時雇用する従業員が 10 人に満たない会社で、就業規則の作成を行っ ていない場合、特別有給休暇制度の規定化をどうすれば良いか。
A:就業規則の作成及び労働基準監督署への届出義務のない常時10人未満の労働者を雇用する事業主の場合で、就業規則の作成・届出をしていない場合は、制度の措置が明文により定められており、労働者に周知されていることを確認できる書類(周知日が確認できるもの。例:明文化された書面について全労働者へメール送信、回覧、掲示示、配布等により周知した場合、日付があるもの(メール送信、回覧の場合は全労働者に送信・回覧(回覧の確認がある等)されたことが確認できるもの、社内に掲示した場合は社内に掲示していることが客観的に分かる写真等
、周知したことが実質的に分かるもの)や労働者代表の氏名及び周知日が確認できる申立書等)を添付すること。
厚生労働省 Q&A育児休業等支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例)4頁より引用
(2)Q: 両立支援制度の周知の方法は、どのような方法で行えば助成金の対象になるか。
A:全ての労働者がその内容を知ることができるよう、例えば次のような方法により周知を行うことが必要。
・イントラネットや社内掲示板による掲示
・電子メールを利用して労働者に制度の内容を送信
・制度の内容を記載した書面を労働者へ交付
・事業所の見やすい場所に制度の内容を掲示
厚生労働省 Q&A育児休業等支援コース(新型コロナウイルス感染症対応特例)7頁より引用
7.さいごに
申請が終了した小学校休業等対応助成金に引き続き、本制度の申請者は事業主であり、上記4.の要件を満たせば上限額まで申請することが可能となります。また、小学校休業等対応助成金においては、従業員に支給した金(賃金の全額)を上限として、助成金が支給されておりましたが、本制度では、1人あたり10万円(上限は上記2.のとおり)が支給されます。
書類の作成及び必要書類の準備には一定の労力が必要となりますが、従業員に働きやすい職場環境を提供するためにも、本制度の活用を検討されるのはいかがでしょうか。
(文責:税理士法人FP総合研究所)