【No270】令和5年度薬価改定について
厚生労働省から令和5年3月3日に、令和5年度薬価改定に関して改定の概要が発表されています。薬価改定は診療報酬の改定にあわせて2年に1回実施されてきましたが、令和3年度からは中間年改定が実施され、実質毎年薬価改定が行われることになりました。今回は、令和5年度の薬価改定におけるポイントをご紹介いたします。
1.実施時期
官報告示:令和5年3月3日(金)
実施:令和5年4月1日(土)
2.改定の主な事項
(1)改定の対象範囲については、平均乖離率(7.0%)の0.625倍(乖離率4.375%)を超える品目を対象としています。
(2)「薬価算定の基準について」(令和5年2月15日中央社会保険医療協議会了解)に基づき、市場実勢価格加重平均値調整幅方式により算定しています。
(3)適用する算定ルールは、①後発品等の価格帯、②基礎的医薬品、③最低薬価、④新薬創出・適応外薬解消等促進加算(加算のみ)、⑤既収載品の外国平均価格調整(※1)を適用しています。また、臨時・特例的に、不採算品再算定を調査結果(※2)に基づく全品を対象に適用するとともに、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の加算額を増額し、従前の薬価と遜色ない水準とする対応を行っています。
(4)薬価基準の収載医薬品(告示数)は次のとおりです。
※1 該当する品目なし
※2 令和4年9月に薬価収載医薬品を供給する業者に対して実施した、物価高騰等の影響による不採算品目の状況に関する調査
~前回の中間年改定との比較~
①前回令和3年度の中間年改定では平均乖離率8%の0.625倍である乖離率5%を超える品目を対象に約7割の品目の薬価が引き下げられたことから、前回相当の改定が実施されることとなります。
②今回の調整幅は、通常改定と同じ2%です。前回令和3年度の改定では、コロナ特例で2%+0.8%の見直しがありましたが、今回は含まれていません。
③新薬創出・適応外薬解消等促進加算は、革新的な新薬の創出を促進するために、ジェネリック医薬品(後発品)の無い新薬に対して、市場実勢価格に基づいた薬価の引下げを猶予するものです。
また、医療用医薬品における不採算品とは、薬価改定において薬価が下がり、採算が取れなくなってしまった品目を指します。不採算品再算定は、これらの品目のうち代替薬が無いなどの理由で医療上の必要性が特に高い医薬品に限り、薬価を引き上げる制度のことです。
これらの特例的な措置により、従前の薬価と遜色ない水準とする対応を行うことになります。
(別添2)新薬創出・適応外薬解消等促進加算 対象品目リスト(医薬品コード順)
(別添3)新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象品目を有する会社
より引用
(文責:税理士法人FP総合研究所)