【No267】オンライン資格確認の導入・普及に伴う診療報酬上の特例措置について

 令和4年12月23日に開催された中央社会保険医療協議会において、令和5年4月1日からの診療報酬上の特例措置が決定しました。オンライン資格確認につきましては、医業経営FPNewsでも複数回(No.235No.243他)取り上げてきましたが、今回の特例措置についてご紹介します。

1.医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付けに係る経過措置について

・原則義務化の経過措置

 オンライン資格確認については、令和5年4月1日より原則義務化の方針が決まっていますが、令和4年度末時点でやむを得ない事情がある保険医療機関・薬局は、期限付きの経過措置を設けることとなりました。(下記表を参照)※対象の保険医療機関・薬局は地方厚生(支)局に原則オンラインで事前届出を行う(支払基金とも情報共有)

※令和6年4月を目途に資格確認限定型・居宅同意取得型の運用を開始することとしており、こうした状況を踏まえ、今後必要な見直しを行うこととしています。

注「オン資」とはオンライン資格確認の略称です。

※上記のほか、患者から電子資格確認を求められた場合に応じる義務について、訪問診療等・オンライン診療の場合の経過措置(居宅同意取得型の運用開始(令和6年4月)まで)を設ける。

厚生労働省「令和5年4月1日からの診療報酬上の特例措置等について」より参照

2.医療DXの促進のためのオンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置

・医療DXの促進のためオンライン資格確認の導入・普及の観点から、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」について、(1)初診時・調剤時の評価を見直すとともに、(2)再診時についても新たに評価を行う特例措置を講ずる。

・また、あわせてオンライン請求をさらに普及する観点から、(3)当該加算の算定要件を見直す特例措置を講ずることとする。

厚生労働省「令和5年4月1日からの診療報酬上の特例措置等について」より引用

・医療情報・システム基盤整備体制充実加算

(1)初診時・調剤時の加算の特例

 施設基準を満たす保険医療機関・保険薬局において、初診又は調剤を行った場合における評価の特例

 ・初診料(医科・歯科)

  医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(マイナンバーカードの利用なし) 4点6点

 ・調剤管理料(調剤)

  医療情報・システム基盤整備体制充実加算1(マイナンバーカードの利用なし) 3点(6月に1回)→4点

(2)再診時の加算の特例

 施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対し、再診を行った場合における評価を設ける 

 ・再診料

  (新) 医療情報・システム基盤整備体制充実加算3(マイナンバーカードの利用なし) 2点(1月に1回)

(3)加算要件の特例(オンライン請求の要件)

 現行の加算は、オンライン請求を行っていることが要件となっているが、オンライン請求を令和5年12月31日までに開始する旨の届出を行っている保険医療機関・保険薬局は、令和5年12月31日までの間に限り、この要件満たすものとみなす。

【施設基準】(初診時・再診時共通)

 〇次の事項を当該医療機関・薬局の見やすい場所及びホームページ等に掲示していること。

 ①オンライン請求を行っていること。

 ②オンライン資格確認を行う体制を有していること。

 ③②の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うこと(※)について、当該保険医療機関の見やすい場所及びホームページ等に掲示していること。

 (*)①は今回の特例措置で、令和5年12月31日までにオンライン請求を開始することを地方厚生局長等に届け出た場合には要件を満たしたものとみなす。

【算定要件】

 〇上記の体制を有していることについて、掲示するとともに必要に応じて患者に対して説明すること。(通知)

厚生労働省「令和5年4月1日からの診療報酬上の特例措置等について」より引用

(文責:税理士法人FP総合研究所)