【No263】キャリアアップ助成金の制度の拡充について

 令和4年12月2日付でキャリアアップ助成金の制度の拡充が行われました。制度の拡充が行われたことで、医療機関においてもこれまで以上に助成金の申請を行うケースが増加すると見込まれますので、改めて制度の概要と今回の改正点についてご案内します。

1.キャリアアップ助成金とは

 有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(以下、「有期雇用労働者等」という。)の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するものです。

 複数のコースが設定されており、それぞれの内容は以下のとおりです。

厚生労働省ホームページ キャリアアップ助成金より一部抜粋

2.支給申請までの流れ

 キャリアアップ助成金の活用の際は、各コース実施日の前日までにキャリアアップ計画を作成し、提出が必要となります。また、制度の見直しにより、提出書類の様式が都度変更になりますので、申請様式ダウンロードページより最新の様式をご確認ください。

厚生労働省ホームページ キャリアアップ助成金より一部抜粋

3.改正点①【正社員化コース】

 正社員化コースの概要については、厚生労働省 キャリアアップ助成金(正社員化コース)リーフレットをご確認ください。

 正社員化コースでは、人材開発支援助成金の特定の訓練を修了した後に正社員化すると、助成金額が加算されますが、令和4年12月2日以降に正社員化した場合は、以下の拡充の対象となることが今回の改正点です。

・助成金の金額(1人当たり)の拡充

 人材開発支援助成金「人への投資促進コース」のうち一部訓練(自発的職業能力開発訓練、定額制訓練)の加算額を9万5000円から11万円に引き上げます。


※有期→正規の場合の助成額。無期→正規の場合は、上記の半額。

加算の対象となる訓練の拡充

 人材開発支援助成金のうち、以下の訓練コースが加算の対象となります。

 (1)事業展開等リスキリング支援コース(新設)

 (2)特別育成訓練コース

 (3)人への投資促進コース

 (4)特定訓練コース

厚生労働省 制度改正による変更点に関するリーフレットより一部抜粋

4.改正点②【賃金規定等改定コース】

 賃金規定等改定コースの概要については、厚生労働省 キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)リーフレットをご確認ください。

助成金の金額(1人当たり)の拡充

 支給要件を見直す(2%以上→3%以上)とともに、5%以上の賃金引上げを行う場合の助成額を大幅に拡充します。見直しに伴い、「生産性要件」を満たした場合の助成額の増額は廃止します。

・申請上限の緩和

 1事業所あたり1年度1回の申請制限を撤廃します。1年度1事業所あたり100人までは複数回の申請ができます。

 留意事項

 ※改正後の制度は令和4年9月1日以降の賃金規定等の増額改定に適用します。

 ※令和4年9月1日から令和5年3月31日までの間に賃金規定等を増額改定した場合は、改正前の制度による申請も可能です。(その場合、申請様式は改正前の様式を使用してください。ただし、改正前の制度による申請は1年度1回限りです。)

厚生労働省 制度改正による変更点に関するリーフレットより一部抜粋

(文責:税理士法人FP総合研究所)