【No247】「令和4年10月からの 改正育児・介護休業法」について

 育児・介護休業制度は令和3年6月に改正され、令和4年4月から令和5年4月にかけて段階的に制度が施行されています。

 今回は、令和4年10月1日より施行される「出生時育児休業(産後パパ育休制度)の創設」や「育児休業の分割取得」、その他関連する主な改正点についてご案内します。

1.令和4年10月1日施行の改正概要

厚生労働省 パンフレット「育児・介護休業法令和3年(2021年)改正内容の解説」より引用

(1)出生時育児休業(産後パパ育休)制度の創設

 通常の育児休業制度に加えて、原則、取得の2週間前までに申出を行い、子の出生後8週間以内の期間に4週間までの休業を取得できます。初めにまとめて申し出れば、2回に分割して休業を取得することができます。なお、対象労働者は以下のとおりですが、労使協定の締結により、入社1年未満の労働者、申出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者を対象外にすることが認められています。

 ①産後休業をしていない労働者(日々雇用を除く)

  主に男性が対象ですが、養子等の場合は女性も対象になります。配偶者が専業主婦(夫)でも取得可能です。

 ②有期雇用労働者は、申出時点で、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から起算して8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでない者に限ります。

(2)育児休業の分割取得

 これまで、育児休業は2回に分けて取得することができませんでした。今回の改正により子が1歳になるまでの間に、2回に分割して休業を取得することができるようになりました。これにより夫婦で交代しながら育児休業を取得することも可能となります。

2.その他の改正内容

(1)育児休業給付

 育児休業の分割取得、産後パパ育休に対応した育児休業給付が受けられます。雇用保険の被保険者の方が、子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として、産後パパ育休(出生時育児休業・2回まで分割取得できます)を取得した場合、一定の要件を満たすと「出生時育児休業給付金」の支給を受けることができます。

 また、原則1歳未満の子を養育するために育児休業(2回まで分割取得できます)を取得した場合、一定の要件を満たすと「育児休業給付金」の支給を受けることができます。

厚生労働省 「育児休業給付についてのパンフレット」より引用

(2)育児休業期間中の社会保険料の免除

 令和4年10月から育児休業期間中の保険料の免除要件が改正されます。主な改正内容は以下の2点です。

 ①月額保険料

  育児休業等の開始月については、同月の末日が育児休業等期間中である場合に加え、同月中に14日以上育児休業等を取得した場合にも免除されます。

 ②賞与保険料

  育児休業等を1月超(暦日で計算)取得した場合のみ免除されます。

日本年金機構 「事業主の皆さまへ 育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されます」より引用

3.最後に

 令和4年10月に続き、令和5年4月にも育児休業取得状況の公表義務化(常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主に限る)の新たな制度が施行されます。

 少子高齢化に伴う人口減少が進む中で、出産・育児による労働者の離職を防ぎ、希望に応じて男女ともに仕事と育児を両立できる社会の実現のために、今後もさらに育児休業が取得しやすい法的整備が進むことが期待されます。

(文責:税理士法人FP総合研究所)