【No242】令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について

 令和4年8月2日に開催された第64回中央最低賃金審議会において令和4年度地域別最低賃金額改定の目安が示されました。今後は各地方最低賃金審議会において、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態、調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。

1.各地域におけるランクごとの目安

Aランク(31円) 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪

Bランク(31円) 茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島

Cランク(30円) 北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡

Dランク(30円) 青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

注:都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて、引き上げ額の目安を提示しています。現在、Aランクで6都道府県、Bランクで11府県、Cランクで14道県、Dランクで16県となっています。

 仮に目安どおりに各都道府県で引き上げが行われた場合の全国加重平均の上昇額は31円(昨年は28円)となり、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となります。また、引上げ率に換算すると3.3%(昨年度は3.1%)となっています。

厚生労働省「令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について」より引用

2.各地域の最低賃金予想額

 各地域における目安額を加算した金額が下記の表となります。

厚生労働省「令和3年度地域別最低賃金改定状況」を基に作成

3.最低賃金制度とは

 最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

 仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

 したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。また、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。

厚生労働省「最低賃金制度とは」より引用

(文責:税理士法人FP総合研究所)