【No218】法人における入院給付金・見舞金の処理について
医療法人などの法人が理事(役員)・従業員を被保険者として医療保険に加入している場合、その理事(役員)・従業員が怪我や病気などで入院をすると、保険会社から入院給付金を受け取ることがあります。新型コロナウイルスの罹患による入院も増えている中、法人が入院給付金を受け取った場合の処理とこれに伴う見舞金の処理について解説します。
1.医療保険料を支払う場合
次の契約状況の場合、法人が支払った医療保険料は損金となります。
契約者:法人
被保険者:理事(役員)・従業員
保険金受取人:法人
※医療保険の契約時期により損金計上できる金額が異なります。
2.入院給付金を受け取った場合
法人が入院給付金を受け取った場合、法人の収入となりますので益金として処理します。
3.理事(役員)・従業員に見舞金を支給する場合
法人が入院給付金を受け取った場合、入院した理事(役員)・従業員に見舞金を支払う場合があります。
支払った見舞金は福利厚生費として法人で損金計上をすることになります。
ただし、次の点に注意をしなければその見舞金は理事(役員)・従業員への役員報酬・給与とみなされることになり、さらに理事(役員)への過大な見舞金については、損金計上もできなくなる可能性があります。
・慶弔規程の作成
支払った見舞金を福利厚生費として損金計上するためには、慶弔規定を作成しあらかじめ支給条件を定めるこ とが必要になります。勤続年数や入院日数などで支給対象者をあらかじめ明らかにしておきます。
・社会通念上相当とされる金額
見舞金の金額は社会通念上相当とされる金額以内とする必要があります。
社会通念上相当とされる金額については法人税法で決められていませんが、次の裁決事例をふまえると、上限 金額は5万円が目安となります。
平成14年6月13日裁決
【裁決事項】
病気による入退院を繰り返していた取締役会長に対し支給された見舞金の一部が役員賞与に当たるとした事例。
【裁決要旨】
審査請求人X会社(建築工事業)は、病気による入退院を繰り返していた取締役会長甲に対し、保険会社から受領した入院給付金の半額に相当する見舞金を支給しているが、同業類似法人における見舞金の支給例をみると、5万円を上限としていることが認められるので、入院1回5万円が社会通念上相当と認められる見舞金の上限と認めるのが相当であり、これを超える部分は同人に対する役員賞与と認めるべきである。なお、同人の死亡後に支給された見舞金についても、X会社の弔慰金・見舞金規定に基づき支給されたものであるから、これを退職給与の一部と認定することは相当でなく、上記と同じく入院1回5万円を超える部分は同人に対する役員賞与と認めるべきである。
出典:「TKC税務研究所」
(文責:税理士法人FP総合研究所)