【No202】新型コロナウイルスに関連してスタッフを休ませる場合の措置について

 現在、新型コロナウイルスの感染が全国で広まっていますが、医療機関としてはスタッフが新型コロナウイルスに感染、又は濃厚接触者に該当することを想定しておくことが必要となります。その際に当該スタッフに仕事を休んでもらう場合、賃金の面でどのようなことに注意すればいいのかを厚生労働省ホームページ記載のQ&Aをもとにご案内します。

1.感染した方を休業させる場合

Q.労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当はどのようにすべきですか。

A.新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払う必要はありません。

 なお、被用者保険に加入されている方であれば、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されることがあります。

 協会けんぽでは、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、直近12か月の平均の標準報酬日額の3分の2について、傷病手当金により補償されます。

 具体的な申請手続き等の詳細については、加入する保険者に確認ください。

<解説>

 スタッフが新型コロナウイルスに感染した場合には、各都道府県知事が行う就業制限により一定期間、就業ができないこととなります。この場合、医療機関がスタッフに休業を命じることにはなりませんので、休業中について休業手当の支払い義務はございません。

2.感染が疑われる方を休業させる場合

Q.新型コロナウイルスへの感染が疑われる方について、休業手当の支払いは必要ですか。

A.かかりつけ医等身近な医療機関や「受診・相談センター」で受診・相談をした結果、職務の継続が可能である方について、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

<解説>

 スタッフに感染の疑いがある場合であっても、医療機関や各都道府県に設置されている「受診・相談センター」に受診・相談した結果就業可能と判断されれば、スタッフ本人に就業の意思があれば医療機関は就業をさせなければなりません。ここで、医療機関の判断で当該スタッフを休業させる場合には、医療機関がスタッフに休業を命じることになり、休業中について休業手当を支払う義務が発生します。

3.発熱などがある方の自主休業

Q.労働者が発熱などの症状があるため自主的に休んでいます。休業手当の支払いは必要ですか。

A.会社を休んでいただくよう呼びかけをさせていただいているところですが、新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休まれる場合は、通常の病欠と同様に取り扱っていただき、病気休暇制度を活用することなどが考えられます。

 一方、例えば発熱などの症状があることのみをもって一律に労働者に休んでいただく措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

<解説>

 スタッフが発熱により自主的に休む場合には、通常の病欠扱いとなりますので、休業手当を支払う義務は発生しません。

 新型コロナウイルスに関連してスタッフを休業させる場合、休業期間中の賃金の取り扱いについては、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、スタッフが安心し休むことができる体制を整えていただくことも重要になります。なお、スタッフに休業手当を支払う場合において一定の要件を満たせば、雇用調整助成金の支給対象となりますので、こちらの活用もご検討ください。

厚生労働省 新型コロナウイルスに関するQ&A引用

(文責:税理士法人FP総合研究所)