【No201】エイジフレンドリー補助金について
厚生労働省より、60歳以上の高年齢労働者が安心して働くことができるように中小企業事業者による職場環境を整備することを支援する制度(エイジフレンドリー補助金)の令和3年度分の申請が始まっています。補助対象となる事業者は幅広く、医療機関等においても対象となる制度となっていますので制度の概要をご案内します。
1.制度の目的
エイジフレンドリー補助金は、高齢者が安心して働くことができるよう、中小企業者による職場環境の改善等の安全衛生対策の実施に対し補助を行うもので、令和2年度に創設されました。特に、社会保険福祉施設、医療保健業、旅館業や飲食店等の接客サービス業等では、高齢者が就労する際に利用者等と密に接する業務での新型コロナウイルス感染を防止するための設備や作業の改善も重要です。
2.申請受付期間
令和3年度の申請については、令和3年6月11日から令和3年10月31日までとなっています。
3.対象となる事業者
支給対象となる事業者は次の(1)~(3)すべてに該当する事業者です。
(1)高年齢労働者(60歳以上)を常時1名以上雇用している。
(2)次のいずれかに該当する中小企業事業者であること。
(3)労働保険に加入していること。
※そのほか支給に当たって審査があります。
4.補助対象となる職場環境の改善対策
(1)働く高齢者を対象として職場改善をするための次の対策に要した費用が補助対象となります。
・働く高齢者の新型コロナウイルス感染予防のための費用
・身体機能の低下を補う設備・装置の導入に係る費用
・健康や体力状況等の把握に関する費用
・安全衛生教育の実施に関する費用
(2)具体的には次のような対策が対象となります。
①働く高齢者の新型コロナウイルス感染予防
・介護における移乗介助の際の身体的負担を軽減する機器
・介護における入浴介助の際の身体的負担を軽減する機器
・熱中症の初期症状等の体調の急変を把握できる小型携帯機器(ウェアラブルデバイス)による健康管理システムの利用
・飛沫感染を防止するための対策
※使い捨てマスク等の消耗品・ビニールカーテン等の仮設の設備については対象外です。
②身体機能の低下を補う設備・装置の導入
・通路の段差の解消(スロープの設置等)、階段に手すりの設置
・床や通路の滑り防止対策(防滑素材の採用、防滑靴の支給)
・危険箇所への安全標識や警告灯等の設置
・業務用車両への自動ブレーキ又は踏み間違い防止装置の導入
・熱中症リスクの高い作業がある事業場における休憩施設の整備、送風機の設置
・体温を下げるための機能のある服
・不自然な作業姿勢を改善するための作業台等の設置
・重量物搬送機器・リフト
・トラック荷台等の昇降設備
・重筋作業を補助するパワーアシストスーツ
③健康や体力の状況の把握等
・体力チェック
・運動・栄養・保健指導等の実施(健康診断・歯科検診の費用を除く)
・保健師やトレーナー等の指導による身体機能の維持向上活動
④安全衛生教育
・高齢者の特性を踏まえた安全衛生教育
※労働者個人ごとに費用が生じる対策(ウェアラブルデバイス、防滑靴、体力チェックなど)については、雇用する高年齢労働者の人数分に限り補助対象となります。
厚生労働省リーフレット「令和3年度エイジフレンドリー補助金」のご案内
その他の補助対象となる対策の具体例等については、Q&Aをご確認ください。
5.補助金額
補助対象:高年齢労働者のための職場環境改善に要した経費(物品の購入・工事の施工等)
補助率:½
上限金額:100万円(消費税を含む)
※この補助金は、事業場規模、高年齢労働者の雇用状況等を審査の上、交付決定を行います(全ての申請者に交付されるものではありません)
6.申請手続き
この補助金は、一般社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会(以下「コンサルタント会」という。)が補助事業の実施事業者(補助事業者)となり、中小企業事業者からの申請を受けて、審査等を行い、補助金の交付決定と支払を実施します。
厚生労働省リーフレット「令和3年度エイジフレンドリー補助金」のご案内
7.留意事項
(1)本補助金により50万円以上の機械、器具及びその他の財産を取得した場合、当該財産を耐用年数より前に補助金の目的外に使用することや、譲渡、交換、貸付、担保、廃棄する場合には厚生労働大臣の承認が必要になり、内容によって補助の全部又は一部を返納いただくことになります。
(2)消費税及び地方消費税の確定申告により、補助金に係る消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額が確定した場合(仕入控除税額が0円の場合を含む)は、遅くとも補助事業完了日の属する年度の翌々年度6月30日までに様式5(令和3年度エイジフレンドリー関節補助金の年度消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額報告書)をコンサルタント会へ提出する必要があります。なお、補助金に係る仕入控除税額がある場合には、当該仕入控除税額を返納いただくことになります。
(3)対策費用の支払いについては、交付決定通知を受領してからとなります。そのため交付決定通知以前に費用の支払いをした場合には本補助金の支払の対象とはなりませんのでご注意ください。
(文責:税理士法人FP総合研究所)