【No182】オンライン資格確認等システムの本格運用の延期について
厚生労働省は令和3年3月26日の社会保障審議会・医療保険部会に、オンライン資格確認等システムの本格運用を令和3年10月まで延期することを報告しました。(第142回社会保障審議会医療保険部会 資料2)
オンライン資格確認については、以前にも医業経営FPNewsにおいて複数回(【No.157】【No.166】【No.174】)ご案内しておりますので、制度の概要や整備に係る費用の補助についてはそちらを併せてご覧ください。
本稿では、以下においてオンライン資格確認等システムの本格運用に向けたスケジュールを確認し、実際にシステムを利用する医療機関等において必要な準備について整理します。
1.オンライン資格確認等システムの本格運用に向けた修正スケジュール
オンライン資格確認等システムは、ハード面では新型コロナウイルス感染症などの影響により、システム改修の遅れや顔認証付きカードリーダーの生産の遅れが生じたことで導入準備に大幅な遅れが生じている結果、プレ運用に参加する医療機関等が当初の予定より大幅に減少してスタートしました。
また、ソフト面においてはプレ運用がスタートされるなかで、保険者が登録した個人番号に誤りがあるなど、システムの安定性確保やデータの正確性担保の観点から多くの課題が見つかる結果となっています。
これらを踏まえてこのたび発表された修正後のスケジュールは下の図のとおり、遅くとも令和3年10月までの本格運用開始を目指してプレ運用する医療機関等を約10万施設まで拡大させながら、プレ運用当初に生じた問題点の修正を目指す予定となっています。
(第142回社会保障審議会医療保険部会 資料2 オンライン資格確認等システムについて 4ページより)
2.医療機関等におけるオンライン資格確認等システム導入に向けての準備
医療機関等におけるオンライン資格確認等システム導入準備は次の4つの手順で行います。
① 医療機関等向けポータルサイトにおいて顔認証付カードリーダー(無償提供)の申し込みを行います。
② 電子カルテ・レセコン等のシステムベンダーに見積依頼をし、その後発注をします。見積依頼をする項目は主として以下になります。
a.各種機器の導入・設定
b.システムの改修・動作確認
c.ネットワークの設定・疎通確認
③ 医療機関等向けポータルサイトにおいてオンライン資格確認利用申請を行い、納品された機器の運用テストを行うとともに、それと並行して受付業務等の変更点の確認や厚生労働省から通知されている「個人情報の利用目的の例示について」を参考に患者向けの掲示を進めていきます。
④ 医療機関等向けポータルサイトより顔認証付きカードリーダーを医療機関等向けポータルサイトより申し込んだ医療機関等については②の導入費用のうち基準となる事業額を上限に補助金の交付対象となるため、補助金の申請を医療機関当向ポータルサイトにおいて行います。なお、申請時に必要となる添付書類は以下となります。
a.領収書(写)
b.領収書内訳書(写)
c.オンライン資格確認当事業完了報告書
補助金の申請期限は現時点では令和5年の6月30日までと発表されています。その他詳細については医療機関等向けポータルサイトや「保険医療機関向け医療提供体制設備整備交付金実施要領」でご確認ください。
3.顔認証カードリーダー等の申込状況
オンライン資格確認等システム導入に必要な医療機関向けポータルサイトのアカウント登録数及び顔認証付きカードリーダー申込数は令和3年1月31日時点から令和3年3月28日時点での推移は以下のとおりです。
(文責:税理士法人FP総合研究所)