【No176】「医療機関における新型コロナウイルスワクチン接種の流れ」について

 令和3年2月17日より医療従事者を対象に先行して新型コロナウイルスワクチンの接種が始まりました。希望者が新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた時の費用は公費負担となるため全額が無料となります。一方、新型コロナウイルスワクチンの接種を実施した場合には原則として市町村に請求し支払を受けることとなります。

 そこで、今回は新型コロナウイルスワクチン接種を実施する医療機関(以下、「接種実施医療機関」という)が接種できるまでの手順をご案内します。

1、実施スケジュール

 新型コロナウイルスワクチン接種が行われる期間は、令和3年2月17日から令和4年2月末までの予定となっており、最初に医療従事者への先行接種が2月17日から行われ、その後、一般の医療従事者への優先接種が3月から実施される予定となっています。以降、高齢者、基礎疾患を有する方への接種を進めていく見込みとなっています。

『厚生労働省ホームページ』新型コロナウイルスワクチンの接種体制の構築について 令和3年1月29日 4頁

2、新型コロナウイルスワクチンの接種の方法

①集合契約への参加

 新型コロナウイルスワクチンの接種・流通業務を効率化し、関係者の事務負担を軽減する観点から、市町村と接種実施医療機関の間で締結されるワクチン接種の委託契約について、それぞれをグループ化し、グループ同士で包括的な契約(集合契約)する予定となっております。

 集合契約に参加するために、まず、一括して全国の市町村から委託契約を受けるための委任状をとりまとめ団体に提出します。委任状は、ワクチン接種契約受付システムに、必要事項を入力すると、PDFファイルで作成されます。その作成した委任状をとりまとめ団体に郵送し、システムと照合して受領確認を行うと登録が完了します。

『厚生労働省ホームページ』新型コロナウイルスワクチンの接種体制の構築について 令和3年1月29日 21頁

②V-SYS(ワクチン接種円滑化システム)への初期登録

 V-SYSとは、ワクチンの配送に関する情報の共有を行うためのシステムとなります。上述の集合契約への参加時に登録したメールアドレスにV-SYS用のID/パスワードが送付されます。

 V-SYSに医療機関情報を入力すると、初期登録が完了します。併せて取り扱う予定のワクチンや、接種医師情報(医師氏名、メールアドレス、電話番号)を入力します。この情報をもとに、ワクチン製造販売業者から、医薬品に関する情報提供がなされます。

③個別接種・集団接種・施設接種

 新型コロナウイルスワクチンの接種方法として、個別接種(かかりつけ医などの医療機関で接種する方法)、集団接種(公民館や体育館などの特設会場で接種する方法)、施設接種(高齢者施設が接種実施医療機関となり接種する方法又は巡回時に接種する方法)が挙げられます。これらの接種方法は、地域の実情により判断されるため、とりまとめ団体により異なっています。

『厚生労働省ホームページ』新型コロナウイルスワクチンの接種体制の構築について 令和3年1月29日 6頁

3、接種の進め方

①受付

 接種実施医療機関は、窓口に来た対象者の接種券及び予診票と本人確認書類(運転免許証、被保険者証等)を確認し、本人確認を行います。(接種券は住民記帳台帳に記載されている者のうち、新型コロナウイルスワクチンの接種対象者個人ごとに市町村が発送されます。)

②予診

 接種を行う前に、問診・検温、必要な診察を行う、予防接種を受けることが適当でない者又は予防接種の判断を行うに際して注意を要する者に該当するか否かを調べます。

③接種後

 予診票に、接種券のシールと、ワクチン名・ロット番号のシールを貼付します。予診票の写しを接種実施医療機関において保管します。(予診票は接種券の発送時期に合わせて、原則市町村が印刷を行い、接種実施医療機関等に配布されます。)

『厚生労働省ホームページ』新型コロナウイルスワクチンの接種体制の構築について 令和3年1月29日 28頁

4、新型コロナウイルスワクチン接種の費用に係る請求・支払体制

 新型コロナウイルスワクチンの接種に係る費用については、原則として住民票所在地の市町村で予診や接種を受けることから、接種実施医療機関は原則として直接市町村へ請求するものとなります。一方、やむを得ない事情により、住民票所在地の市町村で接種を受けることが困難な者もいるため、住民票所在地以外の医療機関等で接種を行った分の請求支払いについて、各都道府県国民健康保険団体連合会及び国民健康保険中央会を代行機関としています。

 なお、住民票所在地外の接種実施医療機関等で接種が行われた場合、事前に住民票所在地の市町村又は当該市町村が指定する場所等へ直接費用請求を行うように決めている場合は、国民健康保険団体連合会及び国民健康保険中央会を通して費用請求を行う必要はありません。

 『厚生労働省ホームページ』新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(2.0版) 49頁

 

『厚生労働省ホームページ』新型コロナウイルスワクチンの接種体制の構築について 令和3年1月29日 30頁

5、新型コロナウイルスワクチンの接種費用

 接種を受ける際の費用は全額公費となるため、無料で接種を受けることができます。一方、接種を実施する場合の費用に関しては、接種1回目、接種2回目とも全国共通の2,070円(税込2,277円)となっています。接種を実施できなかった場合の予診費用は1,540円(税込1,694円)また、6歳未満の乳幼児に接種が行われた場合には660円(税込726円)が加算されます。(ワクチン代は国が確保し供給することとなるため接種費用に含まれていません。)

『厚生労働省ホームページ』新型コロナウイルスワクチンの接種体制確保について 令和2年12月28日 70頁

6、課税関係

 新型コロナウイルスワクチン接種に係る収入は、消費税法上、課税売上げとなります。

 ワクチン代は国が負担するため仕入税額控除の適用はありません。なお、接種を行うために実施医療機関で準備しておくものについては仕入税額控除の対象となります。

(文責:税理士法人FP総合研究所)