【No169】第三次補正予算案による医療機関等への支援について
令和2年12月15日(火)に第三次補正予算案が閣議決定されました。その中の医療機関等への支援案を抜粋してご紹介します。なお、今回の情報につきましては今後内容及び制度が変更となる可能性がありますのでご了承ください。
1. 診療・検査医療機関の感染拡大防止等の支援(予算案:212億円)
【事業目的】
◎診療・検査医療機関(仮称)については、都道府県の指定に基づき専ら発熱患者等を対象とした外来体制をとる医療機関であり、新型コロナの感染が拡大する中で、院内等での感染拡大を防ぎながら発熱患者等に対する診療・検査を提供するすることができるよう、緊急的臨時的な対応として、感染拡大防止等の支援を行う。
【事業内容】
〔対象医療機関〕
院内等で感染拡大を防ぐための取組を行う、都道府県の指定を受けた、診療・検査医療機関(仮称)
※「診療・検査医療機関の感染拡大防止等の支援」又は「医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援」のどちらかの補助を受けることができる(両方の補助を重複して受けることはできない)
※二次補正予算による「医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援」の補助を受けた医療機関も補助対象となる。
※令和2年9月15日の予備費による「インフルエンザ流行期における新型コロナウイルス感染症疑い患者を受け入れる救急・周産期・小児医療機関体制確保事業」感染拡大防止等の補助を受けた医療機関は対象外。
〔補助基準額〕
以下の金額を上限として実費を補助
・診療・検査医療機関(仮称) 100万円
〔対象経費〕
令和2年12月15日から令和3年3月31日までにかかる感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する費用
(従前から勤務している者及び通常の医療提供を行う者に係る人件費は除く)
※感染拡大防止対策に要する費用に限られず、院内等での感染拡大を防ぎながら地域で求められる医療を提供するための診療体制確保等に要する費用について、幅広く対象となる。
例:消毒・清掃・理念交換等の委託、感染性廃棄物処理、個人防護服の購入、寝具リース、CTリース等
厚生労働省「令和2年度第三次補正予算案(参考資料)」P.2
2. 医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援(予算案:858億円)
【事業目的】
◎新型コロナの感染が急速に拡大する中で、医療機関・薬局等においては、それぞれの機能・規模に応じた地域医療の役割分担の下で、必要な医療提供を継続することが求められる。
◎医療機関・薬局等において、院内等での感染拡大を防ぎながら地域で求められる医療を提供することができるよう、緊急的臨時的な対応として、感染拡大防止等の支援を行う。
【事業内容】
〔対象医療機関〕
院内等での感染拡大を防ぐための取組を行う、保険医療機関、保険薬局、指定訪問看護事業者、助産所
※「診療・検査医療機関の感染拡大防止等の支援」又は「医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援」のどちらかの補助を受けることができる(両方の補助を重複して受けることはできない)
※二次補正予算による「医療機関・薬局等における感染拡大防止等の支援」の補助を受けた医療機関も補助対象となる。
※令和2年9月15日の予備費による「インフルエンザ流行期における新型コロナウイルス感染症疑い患者を受け入れる救急・周産期・小児医療機関体制確保事業」感染拡大防止等の補助を受けた医療機関については、3次補正予算の「医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援」の方が補助上限額が高い場合は、差額分を補助。
〔補助基準額〕
以下の額を上限として実費を補助
・病院・有床診療所(医科・歯科)25万円+5万円×許可病床数
・無床診療所(医科・歯科) 25万円
・薬局、訪問看護事業者、助産所 20万円
〔対象経費〕
令和2年12月15日から令和3年3月31日までにかかる感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する費用
(従前から勤務している者及び通常の医療提供を行う者に係る人件費は除く)
※感染拡大防止対策に要する費用に限られず、院内等での感染拡大を防ぎながら地域で求められる医療を提供するための診療体制確保等に要する費用について、幅広く対象となる。
例:消毒・清掃・理念交換等の委託、感染性廃棄物処理、個人防護服の購入、寝具リース、CTリース等
※看護師等が消毒・清掃・リネン交換等を行っている場合は、看護師等の負担軽減の観点から、本補助金を活用して、民間事業者に消毒・清掃・リネン交換等を委託することが可能。
厚生労働省「令和2年度第三次補正予算案(参考資料)」P.3
3.新型コロナウイルス感染症を踏まえた診療に係る特例的な対応
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、小児に対する診療の実態や、新型コロナウイルス感染症から回復した後の継続的な治療の必要性の観点から、感染が急激に拡大している間、期中における臨時異例の措置として、以下の対応を行うこととする(令和2年12月15日付け事務連絡発出)。
このうち、小児の外来診療に係る措置については、令和3年9月末まで行う。「同年10月以降については、~同年度末まで規模を縮小した措置を講じること~を基本の想定としつつ、感染状況や地域医療の実態等も踏まえ、年度前半の措置を単純延長することを含め、必要に応じ、柔軟に対応する」こととする。
a.外来における小児診療等にかかる評価
◎感染予防策の実施について、成人等と比較して、
(1)親が医療従事者と濃厚接触しやすいため(抱っこ、おむつ交換など)、感染経路が非常に多く、感染予防策の徹底が重要であること
(2)訴えの聴取等が困難であり、全ての診療等において、新型コロナウイルス感染症を念頭に置いた対策が必要であることなどから、より配慮が求められる6歳未満の乳幼児への外来診療等に対する評価を行う。
◎小児特有の感染予防策(※)を講じた上で外来診療等を実施した場合、初再診に関わらず患者毎に
・医科においては、100点(令和3年10月からは、50点)
・歯科においては、55点 (令和3年10月からは、28点)
・調剤については、12点 (令和3年10月からは、6点)
に相当する点数を特例的に算定することができる。
※「小児の外来診療におけるコロナウイルス感染症2019(COVID-19)診療指針」を参考に感染予防策を講じた上で、保護者に説明し、同意を得ること。
b.新型コロナウイルス感染症からの回復患者の転院支援
◎新型コロナウイルス感染症の回復後においても、感染症対策を実施するための体制整備が必要
◎新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れた医療機関において、必要な感染予防策を講じた上で入院診療を行った場合の評価を3倍に引き上げる。
※これまでの臨時特例 二類感染症患者入院診療加算(1倍)250点→今回の見直し 二類感染症患者入院診療加算(3倍)750点
厚生労働省「令和2年度第三次補正予算案(参考資料)」P.4
厚生労働省「令和3年度予算案の概要」P.19
日本医師会の松本常任理事は12月23日の定例記者会見にて既存の予算で対応する外来の診療報酬について、「12月15日から、6歳未満の乳幼児への外来診療等に対する評価として100点が、入院では、新型コロナウイルス感染症からの回復患者の転院支援として750点の加算が新たな特例として実施されたが、この点を日本医師会として評価している」とする一方、新型コロナウイルス感染症に直接立ち向かって奮闘している医療機関と、それを面で支える医療機関に対する更なる支援を求めていたことを報告した。
日医on-lin「新型コロナウイルス感染症に対応した医療機関等への更なる支援について」
4.医療・福祉事業に対する無利子・無担保等の危機的対応融資
【事業内容】
医療機関等における融資の利用が進んでいるため、(独)福祉医療機構に対して1,019億円の政府融資(369億円→1,388億円)を行うことにより財政基盤の強化するとともに、審査体制の拡充等を行う。
厚生労働省「令和2年度第三次補正予算案(参考資料)」P.8
(担当:加地 和之)