【No165】GビズIDについて
令和2年4月よりGビズIDを利用した社会保険・雇用保険手続の電子申請がスタートしています。今までもe-Gov(電子政府の総合窓口)において社会保険等の電子申請は可能でした。しかし、e-Govを利用した電子申請には電子証明書(インターネットにおける実印に相当するもの)が必須であることや、法人しか利用できない等の理由により中々普及していません。医療機関においても、スタッフの入退職の際に必要な資格取得喪失届や算定基礎届などの書類を郵送又は持参により手続をしている場合が多いかと思います。そこで今回は、電子証明書が不要となったGビズIDを用いた電子申請手続のうち社会保険・雇用保険の電子申請手続を中心にご説明します。
1. GビズIDとは
GビズIDとは、経済産業省が提供する複数の行政サービスを、1つのアカウントにより利用することのできる認証サービスです。GビズIDに対応する行政サービスは現在も拡大しつつあり、社会保険等の電子申請以外の申請にも対応しています。「GビズIDで利用できるサービス一覧」
(1) GビズIDの種類
『経済産業省ホームページ』より抜粋
※電子申請や各種手続で利用する場合にはgBizIDプライム又はgBizIDメンバーアカウントを取得する必要があります。
(2) アカウント登録に必要なもの
『経済産業省ホームページ』より抜粋
(3)アカウントのログイン方法
※gBizIDプライム又はgBizIDメンバーアカウントについてはログインの際にワンタイムパスワードが登録した携帯電話又はスマートフォンにSMSで届きます。
『経済産業省ホームページ』より抜粋
(4)GビズIDのメリット・デメリットについて
【メリット】
・電子証明書と違い、無料で使用可能であり有効期限もない
・郵送や持参の手間やコストを削減することができる
・e-Govと異なり個人事業主でも電子申請が可能
【デメリット】
・すべての電子申請手続には対応できないため紙申請が必要となる場合がある
・GビズIDを利用するためには印鑑(登録)証明書を取得する必要があり、登録にも時間(2週間程度)がかかる
2. 社会保険・雇用保険手続の電子申請について
社会保険・雇用保険の電子申請については、日本年金機構が作成する「届書作成プログラム」を使用します。令和2年12月現在で作成可能な届書は以下の書類です。(令和2年4月より義務化されている特定の法人についての電子申請には対応していない書類があります)
【社会保険】
・資格取得届/70歳以上被用者該当届
・資格喪失届/70歳以上被用者不該当届
・月額変更届/70歳以上被用者月額変更届
・算定基礎届/70歳以上被用者算定基礎届
・賞与支払届/70歳以上被用者賞与支払届
・被扶養者異動届/国民年金第3号被保険者関係届
・国民年金第3号被保険者関係届
3. GビズIDの今後の対応について
令和2年11月24日(火)より、冒頭で取り上げたe-Govがe-Govポータルと名称が変更となり、電子申請についてもe-Gov電子申請という名称に変更し、GビズIDやオープンIDでのログインも可能となり、macOSでも利用が可能となりました。
冒頭で説明した電子証明書についてもgBizIDプライム、gBizIDメンバーの場合には電子申請対象手続所管行政 機関の指定により、電子証明書を省略できることがあります。今後、さらに利用できる電子申請の種類が増えていくことが期待されます。
(担当:加地 和之)