【No160】「令和2年度インフルエンザ流行期に備えた 発熱患者の外来診療・検査体制確保事業」について
現在もなお、新型コロナウイルスの影響が各所に出ている中、今後はインフルエンザの流行期に突入していきます。各医療機関においては今後の対応を検討されているところかと思われますが、厚生労働省より「令和2年度インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業」について発表がありましたのでご案内いたします。
1.事業の概要
都道府県の指定を受けた「診療・検査医療機関(仮称)」が、発熱患者等専用の診察室(時間的・空間的分離を行い、プレハブ・簡易テント・駐車場等で診療する場合を含む)を設けて、発熱患者等を受け入れる体制をとった場合に、外来診療・検査体制確保に要する費用が補助される制度となります。
「事業の概要|インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業」
『厚生労働省ホームページ』
2.「診療・検査医療機関(仮称)」の指定
「診療・検査医療機関(仮称)」の指定要件等については、厚生労働省事務連絡『令和2年度インフルエンザ 流行期におけえる発熱外来診療体制確保補助金に係る対応について』の5ページから7ページにあります別紙1を参照ください。
指定の手続きについては都道府県ごとに行うこととなっておりますので、詳しい手続き方法は各都道府県にお問い合わせください。
3.補助金の算定方法・交付申請
今回の補助金は、都道府県から「診療・検査医療機関(仮称)」の指定を受けた医療機関が対象となり、発熱患者等を受け入れる体制を確保した時間に応じて、専用の診察室で受け入れることが想定される発熱患者等の患者数(以下「基準患者数」という。(①))から、実際に診察室で受診した発熱患者等の受診患者数(②)を差し引いた人数に、1人あたり13,447円を乗じた額が、体制確保の経費として算定され補助金が交付されます。
*補助金の交付額(1日当たり)=(①-②)×13,447円
基準患者数は、各医療機関で専用の診察室を確保した時間に応じて算定されることとなりますが、人数には上限があり、1日7時間あたり20人となっています。
従って、専用の診察室を確保した時間が1日4時間である場合には、20人×4時間÷7時間=11.4人が上限となります。
例えば、発熱患者等を受け入れる体制を確保した時間が7時間、実際の受診患者が5人の場合は、①20人-②5人=15人が受け入れられなかった患者数となり、13,447円を乗じて、201,705円がその日の外来診療・体制確保料となります。
なお、今回の補助金の最終的な算定方法は上記のとおりとなりますが、交付申請にあたっては3月末までの各稼働日における受診者数の見込み(以下「想定受診者数」という。(③))に基づき金額を計算の上、概算にて事前申請を行うこととなります。
つまり、診察室を確保した時間に応じて算定される基準患者数(①)から、想定受診者数(③)を差し引いた人数に、13,447円を乗じた額に、さらに「診療・検査医療機関(仮称)」の指定を受けた日から令和3年3月末までの稼働日数を乗じた額を、補助金の交付申請額として申請することとなります。
*交付申請額:(①-③)×13,447円×稼働日数
(補助金の算定における留意事項)
※曜日ごとに診察室を確保する時間が異なる場合には、曜日ごとに日数を集計し計算を行います。
※「診療・検査医療機関(仮称)」が自院のかかりつけ患者及び自院に相談のあった患者である発熱患者等のみを受け入れる場合は、基準患者数は1日2時間5人を上限とするなど、上記とは異なる計算となります。
※最終的には令和3年3月までの受診者数等の実績を報告し、その実績を踏まえて、国庫補助額の精算を行うこととなります。
その際、
・基準患者数と受診者数の差引は1日毎となります。実際に1日で20人以上の患者を受け入れた場合、その日の交付額は0円となります。
・実際の発熱患者数が0人の月(令和2年9月、10月は除く)については上記により算出された額に1/2を乗じることとなります。
「医療機関への案内|都道府県から「診療・検査医療機関(仮称)」の指定を受けた医療機関の皆様へ」
『厚生労働省ホームページ』
「事業の概要|インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業」
『厚生労働省ホームページ』
4.申請書類・提出期限
(1)申請書類
厚生労働省ホームページよりダウンロードできるようになっています。
以下のリンクを参照し、申請書類を準備し、厚生労働省発熱外来診療体制確保支援事業担当 へ郵送にて提出することになっています。
「令和2年度インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業」について
(2)提出期限
令和2年10月30日とされていますが、それ以降でも随時受付可能となっています。
5.補助金の実績報告
補助金の交付を受けた場合には、事業完了後に実績報告書の提出をし、概算交付額との精算を行うこととなります。
実績報告の流れについては交付決定時に個別に案内が行われるようですのでそちらでご確認ください。
6.Q&A
Q1 診療・検査医療機関(仮称)の指定について、都道府県ごとの上限数はあるのでしょうか。 |
A1 診療・検査医療機関(仮称)の指定について、都道府県ごとの上限数はありません。 なお、地域における新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況やインフルエンザの流行状況等を踏まえて、各都道府県において適切に診療・検査医療機関(仮称)の指定・解除を行うとともに、診療・検査医療機関(仮称)において適切に診療・検査対応時間の設定を行うようにしてください。 |
Q2 診療・検査医療機関(仮称)について、10 月中に体制整備を行うこととされていますが、11月以降も指定できるのでしょうか。 |
A2 インフルエンザ流行に備えた体制整備について、各都道府県において、10 月中を目途に取り組むよう依頼していますが、11月以降も、地域における新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況やインフルエンザの流行状況等を踏まえて、各都道府県において適切に診療・検査医療機関(仮称)の指定・解除を行うようお願いします。 |
Q3 診療・検査医療機関(仮称)について、発熱患者等専用の診察室を設けた上で発熱患者等の診療を行う以下のような医療機関も指定の対象となるのでしょうか。 ①発熱患者等の診療を行い、インフルエンザの検査を行うが、新型コロナの検査を地域外来・検査センター等に依頼する医療機関 ②発熱患者等の診療を行い、インフルエンザの検査及び新型コロナの検査を地域外来・検査センター等に依頼する医療機関 |
A3 診療・検査医療機関(仮称)は発熱患者等専用の診察室を設けた上で発熱患者等の診療を行うものであり、ご質問の①・②の医療機関については、検査について依頼する地域外来・検査センター等と連携体制がとれており、また、他の要件を満たす場合は、診療・検査医療機関(仮称)の指定の対象となります。 |
Q4 帰国者・接触者外来は、診療・検査医療機関(仮称)として補助の対象となるのでしょうか。 |
A4 帰国者・接触者外来についても、診療・検査医療機関(仮称)の指定を受けた場合には、「インフルエンザ流行期に備えた発熱患者の外来診療・検査体制確保事業」の補助金の対象となります。 |
Q5 診療・検査医療機関(仮称)としての対応時間は、週単位で固定する必要があるのでしょうか。 |
A5 診療・検査医療機関(仮称)としての対応時間について、必ずしも週単位で固定する必要はありませんが、都道府県・保健所設置市・特別区、受診・相談センター、地域の医療機関間で情報共有し、発熱患者等に適切に診療・検査医療機関(仮称)を案内できるよう、事前に都道府県に報告する必要があります。 |
Q6 診療・検査医療機関(仮称)が、発熱患者等専用の診察室を設けた上で、発熱患者等を受け入れる体制を確保した時間帯(診療・検査対応時間)に、他の疾患等の患者が来院した場合、同一の医師が発熱患者等専用の診察室で、他の疾患等の患者の診療を行うことは可能でしょうか。 |
A6 診療・検査医療機関(仮称)は発熱患者等専用の診察室を設けた上で発熱患者等の診療を行うものであり、同室において他の疾患等の患者を受け入れることは、発熱患者等専用の診察室とは言えず、指定の要件を満たさないことになるため、基本的に認められません。感染拡大防止の観点からも、他の疾患等のかかりつけ患者が発熱患者等の診療・検査対応時間以外の時間帯に来院するよう、当該時間帯をかかりつけ患者に明示することが推奨されます。 ただし、発熱以外の急病患者が生じた場合等に、地域医療の実情等を踏まえ、やむを得ず、同一の医師が発熱患者等専用の診察室で、他の疾患等の患者の診療を行うことが生じ得ますが、こうした例外的な受入れの場合に限定して認められるものとします。その際も、動線分離、消毒、換気等の感染防止措置を行うこととしてください。 同一の診察室で他の疾患等の患者の診療を行った場合は、発熱患者等を受け入れる体制がそれだけ減少していると考えられることから、他の疾患等の患者数を「発熱患者等の想定受診患者数」から差し引いた人数を、同日の「発熱患者等の想定受診患者数」とします。 |
Q7 診療・検査医療機関(仮称)が、発熱患者等専用の診察室を設けた上で、発熱患者等を受け入れる体制を確保した時間帯(診療・検査対応時間)に、他の疾患等の患者が来院した場合、同一の医師が発熱患者等専用の診察室とは別の診察室で、他の疾患等の患者の診療を行うことは可能でしょうか。 |
A7 診療・検査対応時間において、発熱患者等が来院した際に速やかに診療できる体制をとった上で、発熱患 者等を担当する医師が発熱患者等専用の診察室とは別の診察室で、看護師の専任体制を確保して、他の疾患等の患者の診療を行うことは可能ですが、動線分離、消毒、換気等の感染防止措置を行うこととしてください。 発熱患者等を担当する医師が別の診察室で他の疾患等の患者の診療を行った場合は、発熱患者等を受け入れる体制がそれだけ減少していると考えられることから、他の疾患等の患者数に1/2を乗じた人数を「発熱患者等の想定受診患者数」から差し引いた人数を、同日の「発熱患者等の想定受診患者数」とします。 |
Q8 発熱患者等専用の診察室が複数あるとして申請するためには、具体的には、どのような体制が確保できていればよいでしょうか。 |
A8 空間的な分離を行った診察室が複数確保できており、かつ、複数の発熱患者等を同時に診療できる人員体制(医師や看護師を含めて、1人の発熱患者等の診療に必要な職員体制が複数あること)が確保できていればよい。 例:3つの診察室の場合は、3人の医師が診療できる体制 |
Q9 発熱患者等のオンライン診療のみを行う医療機関も、診療・検査医療機関 (仮称)として補助の対象となるのでしょうか。 |
A9 発熱患者等に対してオンラインでのみ診療を行い、対面で診療が必要になった場合は他の医療機関を案内する医療機関は、発熱患者等専用の診察室(時間的・空間的分離を行い、プレハブ・簡易テント・駐車場等で診療する場合を含む)を設けているとはいえないため、補助の対象とはなりません。 一方、発熱患者等専用の診察室を設けて、対面で診療・検査を行う体制を確保している診療・検査医療機 関(仮称)が、その診療・検査対応時間に発熱患者等のオンライン診療を行った場合には、当該患者数も「実際の受診患者数」に加えて外来診療・検査体制確保料を算定します。 |
『厚生労働省ホームページ』より一部抜粋一部加工
(担当:金井 祥真)