【No513】社長の海外視察旅行費用の注意点 その1(海外渡航費用の税務上の取り扱い)
昨今において、中小企業といえどもビジネスチャンスを求めて、積極的に海外進出を考えている会社も多くあります。その際、トップ営業として、社長自ら海外の取引先との交渉のために、海外に赴くことも考えられます。そこで、社長が海外視察等を行う場合の海外視察費用・渡航費用について、どのような点に注意をしておけば良いのか、税務上の取り扱いを確認するとともに、会社としてどのような対策を行っておけば良いかを確認します。
1.海外渡航に際して支給する旅費の取り扱いの確認
会社の役員または使用人の海外渡航に際して支給する旅費は、その海外渡航がその会社の業務の遂行上必要なものであり、かつ、その渡航のための通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての会社の経費を認められるとしています。(法基通9-7-6)
その海外渡航の期間中に休日等の余暇に観光地を周ったとしても、旅行期間のおおむね全期間を通じ、明らかに会社の業務遂行上必要と認められるものである場合には、その海外渡航のために支給する旅費は、全額を旅費として経理することができるとされています。
ただし、その旅費が、社会通念上合理的な基準によって計算される等、不当に多額でないと認められる限りという条件が付されています。(法基通9-7-6注書)
2.会社の業務遂行上必要と認められない海外渡航費の取り扱いの確認
会社の業務の遂行上必要と認められない海外渡航の旅費の額は、会社の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であっても、その旅費の額のうち、通常必要と認められる金額を超える部分の金額については、原則として、その役員または社員に対する給与と認定されます。
3.社長や役員の海外渡航費が業務上必要と認められない場合の取り扱い
社長や役員の海外渡航費が業務上必要と認められない場合には、やはりその社長や役員に対する給与と認定されますが、その認定された給与については、定期同額給与、事前確定届出給与に該当しないため、賞与として認定されることになり、法人税の計算上は損金不算入となり、さらに賞与に対する所得税が課される可能性があります。
4.海外渡航費が会社の経費として認められるかどうかの判断基準
法人税法上、海外視察旅行などの海外渡航費が会社の経費として認められるか否かは、以下の点に注意が必要となります。
①業務の遂行上必要な旅行か否か?
②その旅行が渡航のため通常必要と認められる部分の金額を超えているか否か?
(文責:税理士法人FP総合研究所)