【No459】決算報告会の資料としてのローカルベンチマークの活用について

 決算報告書は、企業の財政状態と経営成績を報告するために必要な書類で、事業年度の終了に作成され、税務署、株主、取引先、金融機関などに提出されます。

会社法で作成しなければならない決算報告書は、計算書類である「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「個別注記表」の4つ(上場企業においてはキャッシュフロー計算書も必要となります。)及び「事業報告」「附属明細書」の2つがあります。

近年、決算の報告に際し、ローカルベンチマーク(以下、ロカベン)が「企業の健康診断ツール」として、企業と金融機関等の支援機関の対話ツールとして活用されています。

ロカベンを決算の際に別途資料としてステークホルダー(利害関係者)に提出することで、会社の状態を把握するために押さえておくべき特徴、数値による評価(財務情報)のみでなく、経営者の意欲や事業環境などの(非財務情報)を確認して頂くことができます。

(1)財務情報に基づく分析

「財務情報」では、前年対比により過去から現在までを把握することができます。

  ① 基本入力情報の参考 (サンプル②を参照下さい。)

・※1の従業員(正社員)は、パート及び契約社員は含まれない旨の説明がありますが、自社の業種等において判断して下さい。(例えば、飲食業の場合パート2名で正社員1名のカウントをご検討下さい。)

  ② 財務分析用入力情報の参考 (サンプル②を参照下さい。)

・※5の受取手形は、割引手形を含めた金額旨の説明がありますが、自社においては、電子記録債券を含めてご検討下さい。

  ③ 算出結果の参考 (サンプル②を参照下さい。)

・※8の労働生産性は、営業利益/従業員数の旨の説明がありますが、自社においては、付加価値額/従業員数でご検討下さい。

  ④ 中規模事業者の参考 (サンプル②を参照下さい。)

・※9のEBITDA有利子負債倍率は、本業で稼ぐ力で債務償還年数が表示されます。(債務償還年数10年もご検討下さい。)

  ⑤ 算出指標の参考

・令和4年中小企業実態基本調査速報(サンプル④を参照下さい。)

(2)非財務情報による会社の強みや弱みの把握

① 経営者入力情報の参考

・経営者の年齢により、成長志向重視をご検討か事業承継重視をご検討下さい。

② 事業入力情報の参考

・自社の強み・弱みについても、成長志向重視の場合は強み・弱みの両方を、事業承継重視の場合は強みに磨きをかけることをご検討下さい。

③ 企業を取り巻く環境・関係者入力情報の参考

・成長志向重視の場合は、取引金融機関等の協力を得て、設備投資等で同業他社との差別化を行うに当たり、経営者として、財務情報及び非財務情報の説明責任が必要になります。

・事業承継重視の場合は、後継者の有無により判断が違ってきますが、取引金融機関等の協力を得る場合が必要になります。

④ 内部管理体制入力情報の参考

・事業計画・経営計画の作成においては、「見える化」をご検討下さい。

・人材育成の内部研修及び外部研修をご検討下さい。

(3)サンプル

① 財務分析結果

② 財務分析入力情報

③ 非財務分析入力情報

(出典:経済産業省)

④ 自己資本比率情報

(出典:中小企業庁)

(文責:税理士法人FP総合研究所)