【No447】外貨建てで支払う役員報酬が定期同額給与に該当するのか?

 中小企業においても、海外展開を行い、海外の需要を取り込もうとする企業が増えています。海外に駐在する役員に対して外貨建てで役員報酬を支払う場合において、その支給額が円換算を行った際に為替変動により変動する時は、定期同額給与に該当するのでしょうか?

 役員に対して支給する役員報酬については、定期同額給与でなければ損金算入することができません。
 定期同額給与とは、役員に対して支給する1 月以下の一定の期間ごとに支給する給与が同額である場合には、損金算入が可能になる規定を言います。
 定期同額給与に該当しない場合、すなわち、役員に対して支給する毎月の給与が変動しているような場合には、その変動した部分については、法人税の計算上は経費計上ができないことになります。

 今般、中小企業においても、海外展開を行うため、海外に支店や営業所を設置することが増えております。役員が海外営業所に駐在することにより、日本の本店から海外の駐在地である現地の通貨建てで役員報酬を支払うことが想定されます。
 為替相場は日々変動しており、外貨建てにより役員報酬を支給する場合において、外貨建てにより支給した役員報酬の円換算を行った時には、役員報酬が定期同額給与に該当しないのではないかという疑念が生じます。
 このような場合には、外貨建てにより支給した役員報酬は、定期同額給与に該当するのでしょうか?

 結論としては、外貨建てにおいて毎月同額の役員報酬を支給するのであれば、定期同額給与に該当します。

 理由として、国税庁では以下のように回答を行っております。

1. 役員に対して支給する定期給与で各支給時期における支給額が同額であるものは、定期同額給与として、これを支給する法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されます。(法人税法第34 条第1 項第1 号)

2. このように定期同額給与に該当するためには、各支給時期における支給額が同額であることが必要となりますが、ここでいう同額とは、支給額を円換算した金額が同額であることまで求めるものではありません。毎月の給与を外貨建てで支給することとし、毎月、そのとおりに同額を支給している場合には、定期同額給与に該当することとなります。

(文責:税理士法人FP総合研究所)