【No435】登録番号の通知を受けるまでの間のインボイスの交付について
登録番号の通知が未達の場合のインボイスの交付について、国税庁から公表されています「お問合せの多いご質問(令和5年8月21 日掲載)」の中から、「小売店を経営する新設法人における登録の通知を受けるまでの間の適格簡易請求書(簡易インボイス)の交付方法」について、ご紹介したいと思います。
【設例】
・当期に新設した小売店(コンビニエンスストア)を経営する法人
・課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受ける旨を記載した申請書を当該課税期間の末日までに提出し、課税期間の初日から登録を受けた
・登録通知が届くまでの間、登録番号の記載をしていないレシートを交付していた
・登録通知書が届いた後、どのように適格簡易請求書を交付すればよいか
1.売り手の対応
新たに設立された法人が、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を、当該課税期間の末日までに提出した場合において、税務署長により適格請求書発行事業者登録簿への登載が行われたときは、その課税期間の初日において登録を受けたものとみなされます。
この場合、登録日(課税期間の初日)から適格請求書等を交付する義務は生じますが、通知を受けるまでの間、適格請求書等を交付することはできませんので、売り手は、例えば次のように対応することが考えられます。
① 事前に適格請求書等の交付が遅れる旨を取引先に伝え、通知後に適格請求書等を交付する。 ② 取引先に対して、通知を受けるまでは登録番号のない請求書等を交付し、通知後に改めて適格請求書等を交付し直す。 ③ 取引先に対して、通知を受けるまでは登録番号のない請求書等を交付し、その請求書等との関連性を明らかにした上で、適格請求書等に不足する登録番号を書類やメール等でお知らせする。 |
よって、上記2又は3の対応を行う必要があります。
2.小売業等の不特定かつ多数の者に対して事業を行う場合
小売業等の不特定かつ多数の者に対して事業を行う場合、上記①②③の事後交付等の対応が困難な場合があると考えられます。そのため、小売店等を営む事業者が、不特定かつ多数の方に登録番号のないレシート等を交付している場合、事前に、インボイスの交付が遅れる旨を事業者のホームページや店頭にてお知らせした上で、例えば次のように対応することが考えられます。
① 事業者(売り手)のHP 等において登録番号を掲示(以下参照)し、相手方にそのページとレシートを併せて保存してもらう。 「弊社の登録番号は『T1234…』となります。令和5年 10 月1日から令和5年●月●日(通知を受けた日)までの間のレシート等をお持ちの方で仕入税額控除を行う方におきましては、当ページを印刷するなどの方法により、レシートと併せて保存してください」 ② 買い手側から電話等を受け、その際に登録番号をお知らせし、買い手側においてその登録番号の記録とレシート等とを組み合わせてインボイスとして保存してもらう(これにより、買い手は仕入税額控除を受けることができます。)。 |
なお、こうした取扱いは、登録日から登録番号の通知が届いた日までにおける、経過的な取扱いとなります。したがって、お手元に登録番号の通知が届き、登録番号を記載した適格簡易請求書を交付できるようになった日以降は、記載事項を満たしたインボイスを交付していただく必要があります。
3.買い手の対応
登録番号のない請求書等を受領した事業者(買い手)においては、申告期限後に記載事項を満たす適格請求書等を受領する又は登録番号のお知らせを受けることとなった場合であっても、事前に売り手が適格請求書発行事業者の登録を受ける旨を確認できたときは、登録番号のない請求書等に記載された金額を基礎として、仕入税額控除を行うこととして差し支えありません。この場合には、事後的に交付された適格請求書等や登録番号の通知を保存することが必要となります。
なお、事後的に適格請求書等の交付等を受けることができなかった場合には、仕入税額控除を行った翌課税期間において、本来の控除税額との差額を調整することとして差し支えありません。
出典:国税庁 お問合せの多いご質問(令和5年8月21 日掲載)
(文責:税理士法人FP総合研究所)