【No426】中小企業・小規模企業白書より賃上げ促進税制と助成金の活用について
毎年4月末頃に中小企業庁から発表される中小企業白書には、中小企業の動向を調査・分析した報告書より、深刻な人手不足や労働時間の制約に対応するため省力化投資等を通じた生産性向上について、賃上げ促進の原資確保及び価格転嫁力の向上に取って重要であることが記載されております。
今回は、中小企業に取って人手不足・賃上げで活用できる税制と補助金について、ご説明致します。
業種別に見た、従業員過不足DIの推移
(資料:中小企業庁・厚生労働省作成)
人材不足への対応方法
(資料:日本商工会議所作成)
[1]各種助成金活用
(1)トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
助成内容・概要
職業経験の不足などから就職が困難な求職者等を原則3か月間試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、期間の定めのない雇用への移行のきっかけとしていただくことを目的とした制度です。 労働者の適性を確認した上で無期雇用へ移行することができるため、ミスマッチを防ぐことができ、人材確保・職場定着が期待できます。
支給要件
① ハローワーク等の紹介により雇い入れること
② 原則3か月のトライアル雇用をすること
③ 1週間の所定労働時間が、通常の労働者の1週間の所定労働時間(30時間以上(※))と同じであること。
※対象労働者が日雇労働者、ホームレス、住居喪失不安定就労者の場合は20時間以上
助成金の支給額
支給額(月額) 最大4万円(※) (最長3か月)
※ 対象労働者が母子家庭の母等もしくは父子家庭の父の場合は、いずれも1人あたり月額最大5万円となります。
(2)人材確保等支援助成金(テレワークコース)
良質なテレワークを制度として導入・実施することにより 、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主を支援します
① 機器等導入助成
支給要件:新たに、テレワークに関する制度を規定した就業規則または労働協約を整備するなどの複数の要件
支給額:支給対象経費の30%
(以下のいずれか低い方の金額が上限額 100万円又は20万円×対象労働者数)
② 目標達成助成
支給要件:評価期間後1年間の離職率が、計画提出前1年間の離職率以下であることなどの複数の要件
支給額:支給対象経費の20%〈35%〉 *〈35%〉は、賃金要件を満たした場合に適用
(以下のいずれか低い方の金額が上限額 100万円又は20万円×対象労働者数)
<2023年度の改正>
テレワーク用端末(PC、タブレット、スマートフォン)のレンタル・リース費用が助成対象となりました。ただし、対象となる経費は最大6ヵ月分、合計77万円までです。
また、賃金要件(賃上げ加算)を満たした場合、目標達成助成の助成率を割り増しして支給されることになりました。一方で、生産性要件は廃止されました。
(3)その他助成金
その他の助成金は、厚生労働省の事業主の方のための雇用関係助成金をご確認下さい。
[2] 中小企業向け賃上げ促進税制
適用対象:青色申告書を提出する中小企業者等 適用期間:令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度(個人事業主は、令和5年から令和6年までの各年が対象)
(文責:税理士法人FP総合研究所)