【No390】電子インボイス制度の概要とPeppol(ペポル)とは
令和5年10月から開始予定のインボイス制度においては、適格請求書を電子データで運用することも想定されています。その電子インボイスの標準的なやり取りについては、海外の規格であるPeppol(ペポル)というネットワークシステムを利用することとなりました。今回は電子インボイス制度の概要及びPeppol(ペポル)をご説明します。
1.電子インボイス制度の概要
課税売上にかかる消費税から課税仕入れに関する消費税を控除する「仕入税額控除方式」を適用する仕組みとして、令和5年10月1日から、正確な適用税率や消費税額などを記載した「適格請求書保存方式(インボイス制度)」が導入されます。商品を仕入れたり売ったりする際の請求書や納品書の記載方法、発行、保存に関わるルールで、「適格請求書の記載内容を電子的記録で提供したもの」を、「電子インボイス(Electronic Invoicing)」と呼び、取引先などとのデータのやり取りが電子メールやインターネット上のサイトでできます。消費税増税に伴う軽減税率の導入で税額計算が複雑になったことに対応し、取引先の透明性を高め、ミスや不正を防ぎ、正確な経理処理につなげることが目的です。
2.「Peppol(ペポル)」とは
Peppol(Pan European Public Procurement Online:ペポル)とは、企業の受発注や請求に必要な電子文書(発注書、請求書など)をネットワーク上でやりとりするための「文書仕様」「運用ルール」「ネットワーク」の規格のことをいい、ベルギーの国際的非営利組織であるOpen Peppol(ペポル)が管理しているグローバルな標準規格です。現在、欧州各国のみならず、オーストラリア、ニュージーランドやシンガポールなど欧州域外の国も含め30か国以上で利用が進んでいます。
当初はヨーロッパの公共調達の仕組みとして導入されましたが、その後BtoB取引でも利用が促進され、Peppol(ペポル)に基づく電子インボイスの国際的な利用が進んでいます。日本では、令和2年末にデジタルインボイス推進協議会(EIPA)が国内向け電子インボイスの仕様にこのPeppol(ペポル)に準拠させることを発表したことで、注目を集めました。
デジタルインボイス推進協議会がPeppol(ペポル)を標準仕様にする目的は、「中小企業や大企業が幅広く低コストで利用できること」「グローバルな取引にも対応できる仕組みにすること」にあります。デジタルインボイス推進協議会では、令和5年10月にはどの企業でも「電子インボイスありき」で業務が行われることを目的として、令和3年9月にデジタル庁が発足し、今後はPeppol(ペポル)をベースとした日本版のPeppol「Peppol BIS Billing JP」が公表され、電子インボイス・システムの準備が進んでいます。現在は主に請求書(インボイス)に係る仕様となっておりますが、今後は日本の商習慣等や消費税制度に対応するという観点からは、仕入明細書(self-billing)等の整備も行われる予定となっています。
(出典:デジタルインボイス推進協議会 HPより)
(文責:税理士法人FP総合研究所)