【No386】休眠会社について

 コロナ禍で業績不振の会社を解散・清算することを検討していらっしゃる場合、会社を休眠(休業)させることを選択肢の一つに入れてみるのはいかがでしょうか。

1.休眠会社とは

 登記を最後に行った日から12年以上経過している株式会社のことです。また、登記を最後に行った日から12年以上経過していない場合でも、税務署等に届出を提出することにより会社を実質的に休眠状態にすることが可能です。

 ※ 一般社団法人または一般財団法人は、5年となります。

 (1) 株式会社の場合

 (2) 一般社団法人または一般財団法人の場合

2.会社を休眠させるメリット

 (1) 法人税・消費税の納付義務

  → 法人税、消費税は課税所得がゼロであればかかりません。

 (2) 法人住民税の均等割についての免除・減免のケース

  → 均等割の免除申請が自治体に受理されるケースがありますので、管轄の府税事務所や市税事務所に相談します。

 (3) 会社の解散・清算の費用と手続

  → 会社の廃業の場合、会社の解散登記や清算手続が必要ですが、休業の場合に登記は不要です。

    司法書士への費用などを含めると30万円から40万円が省かれます。

    事業活動を停止させるだけなので、会社は法律上存在しつづけます。

 (4) 事業活動の再開はいつでもできる

  → 社名の存続もでき、許認可の再取得の必要もありません。ただし、許認可の更新手続は必要です。

3.会社を休眠させる場合の注意事項

 (1) 税務申告義務

  → 決算期毎に通常の税務申告が必要です。2期以上、申告を怠ると「青色申告の承認」が取り消しされます。

 (2) 役員の任期の更新登記手続等

      → 役員の任期満了後2週間以内の申請を怠ると、過料に処せられ、「みなし解散」される場合があります。

 (3) 納税の義務                                                    

  → 会社名義で所有している不動産等に係る固定資産税の納付義務は通常とおりです。

 (4)  社会保険関係

   休業で社会保険の被保険者がいなくなった場合は、年金事務所に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」、「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」、ハローワークに「雇用保険適用事業所廃止届」、労働基準監督署に「労働保険確定保険料申告書」を提出します。

4.会社を休眠させる際の手続

 会社を休眠させるための手続は、下記の書類の提出が必要です。基本的に費用はかかりません。

5.みなし解散による廃業について

 最後の登記をしてから12年を経過している株式会社、5年を経過している一般社団法人または一般財団法人は、解散されたとみなされ、廃業になるおそれがあります。まだ事業を廃止していない場合、「まだ事業を廃止していない」旨の届出を管轄登記所に提出することで回避できる場合があります。

引用:法務省「令和3年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について

(文責:税理士法人FP総合研究所)