【No384】税込3万円未満の場合の請求書等の保存免除の取扱いについて
現行の区分記載請求書等保存方式では、取引価額が税込み3万円未満(一取引ごとに判定)の場合には、請求書等の保存がなくても一定の帳簿保存で仕入税額控除が認められています。しかし、インボイス制度においては、この措置は廃止されます。(一部、特例扱いもあります。)
1.仕入税額控除を受けるための要件の確認
令和5年10月1日からはじまるインボイス制度では、事業者が仕入税額控除の適用を受けるためには、インボイスの保存及び法定事項が記載された帳簿の保存が要件とされています。帳簿の記載事項は、現行制度と変更はありません。
(注1)売り手が、買い手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段であり、請求書、納品書、領収書、レシート等、書類の名称は問わず、一定の事項が記載された(適格請求書発行事業者の登録番号含む)書類
(注2)小売業、飲食店業、写真業、旅行業、タクシー業または駐車場業等の不特定かつ多数の者相手の事業を行う場合にインボイスに代えて発行されるもの
2.インボイスの保存義務が免除されるもの(特例)
原則として「適格請求書発行事業者」から交付を受けたインボイスまたは簡易インボイスの保存が仕入税額控除の要件ですが、以下の場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められます。
① 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送
② 適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引
(①に該当するものを除きます。)
③ 古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
④ 質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得
⑤ 宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
⑥ 適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入
⑦ 適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等
⑧ 適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)
⑨ 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)
上記③~⑥については相手方が「適格請求書発行事業者でない」ことが必要です。
(文責:税理士法人FP総合研究所)