【No360】合同会社の「持分」の評価方法
近年「持分会社」の類型のひとつである「合同会社」を設立して経営されている事業主が多くいらっしゃいますが、「合同会社」の「持分」についてはどのような取扱いがされるのでしょうか。
1.合同会社とは?
「会社」といえば、一般的には「株式会社」や「有限会社(=特例有限会社)」などを思いうかべる方が多いのではないでしょうか。
「株式会社」は、「会社法」という法律を根拠に設立しますが、「会社法」には「株式会社」のほかに「持分会社(合名会社・合資会社・合同会社の総称)」についての規定があります。
「株式会社」は、その会社の所有権を「株式」で表し、その「株式」を所有する「株主(社員)」と、会社の経営を「役員(取締役・会計参与・監査役)」に委任して運営していきます。中小企業の場合、「株主」と「役員」が同じ場合もありますが、基本的には、会社の所有者(株主)と経営者(役員)は分離して考えられています。
一方、「持分会社」は、その会社の所有権を「持分」で表し、その「持分」の所有者(社員)が会社の経営も行うことにより運営してきます(「社員」とは、一般の従業員としての「社員」ではありません。)。
2.合同会社の運営(定款自治)
「合同会社」の定款は、会社法の規定により、「会社の規定により定款に記載しなければならない事項(絶対的記載事項)」及び、「定款の定めがなければその効力を生じない事項(相対的記載事項)」、並びにその他の事項で会社法の規定に違反しない事項(任意的記載事項)を記載することができます。
「持分」については、「定款の定めがなければその効力を生じない事項(相対的記載事項)」として以下のような内容を記載することができます。(記載がない場合は、その事項については原則的な取り扱いになります。)
・死亡または合併による持分の承継に関する定め
・社員の退社による持分の払い戻しに関する定め など
3.「持分」の評価方法
「合同会社」の社員は死亡によって退社(会社法第607条第1項第3号)することとされていることから、原則として「持分」は相続人には引き継がれない(持分の払戻しはない)ことになります。ただし、定款に「死亡または合併による持分の承継に関する定め(相対的記載事項)」などの別段の定めを記載することで、「持分」を相続人に承継(持分の承継)することができます。
①持分の払戻しを受ける場合
持分の払戻請求権(債権)として評価し、その価額は、評価すべき持分会社の課税時期における各資産を財産評価基本通達の定めにより評価した価額の合計額から課税時期における各負債の合計額を控除した金額に、持分を乗じて計算した金額となります。
②持分を承継する場合
取引相場のない株式の評価方法に準じて出資の価額を評価します。
現在、「合同会社」を設立して運営している場合、定款の記載事項によって「持分」取り扱いが違ってきますので記載事項を確認してみてはいかがでしょうか。
(出典:会社法、国税庁質疑応答事例)
(文責:税理士法人FP総合研究所)