【No358】人材確保等促進税制について
新型コロナウイルス感染症が経済や社会に甚大な影響を及ぼす中、ウィズコロナ・ポストコロナを見据えた企業の経営改革の実現に向け、新卒・中途採用による外部人材の獲得や人材育成への投資を積極的に行う企業に対し、法人税等の税額控除措置が講じられます。
1.概要 新卒採用等による人材確保等への投資促進を図る税制措置が講じられています。
(1)適用対象(措法42の1の5①)
青色申告書を提出する全企業
(2)適用期間
令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度
(3)通常要件と税額控除
新規雇用者給与等支給額(※1)が、前年度より2%以上増えていること
⇒控除対象新規雇用者給与等支給額(※3)の15%を法人税額等(※4)から税額控除
(4)上乗せ要件と税額控除
教育訓練費(※2)の額が、前年より20%以上増えていること
⇒控除対象新規雇用者給与等支給額の20%を法人税額等から税額控除
(5)税額控除限度額
税額控除限度額は、(3)及び(4)ともに法人税額等の20%が限度となります。
2.用語の定義
(1)新規雇用者給与等支給額とは(※1)
国内の事業所において新たに雇用した雇用保険法の一般被保険者(支配関係がある法人から異動 した者及び海外から異動した者を除きます。)(注1)に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等(注2)の支給額をいいます。
(注1)雇用保険の一般被保険者とは、雇用保険の適用事業に雇用される労働者であって、1週間の所定労働時間が 20 時間未満である者等(雇用保険法の適用除外となる者)以外は、原則として、被保険者となります。「一般被保険者」とは、「被保険者」のうち、高年齢被保険者(65 歳以上の被保険者)、短期雇用特例被保険者(季節的に雇用される者)、日雇労働被保険者(日々雇用される者、30 日以内の期間を定めて雇用される者)以外の被保険者のことをいいます。 |
(注2)給与等とは、俸給・給料・賃金・歳費及び賞与並びに、これらの性質を有する給与(給与所得となる給与)をいいます。退職金など、給与所得とならないものについては、原則として給与等に該当しません。ただし、賃金台帳に 記載された支給額(所得税法上課税されない通勤手当等の額を含みます。)のみを対象として計算する等、合理的な方法により継続して国内雇用者に対する給与等の支給額の計算をしている場合は、給与等に含めることも認められます。 |
(2)年度途中に採用された国内新規雇用者の考え方
国内新規雇用者については、事業年度の開始とともに雇用される者だけでなく、事業年度の途中から雇用される者も想定されるところ、事業年度の開始時期と国内新規雇用者の採用時期を踏まえた新規雇用者給与等支給額の算定の考え方について、以下に経済産業省に紹介された例を示します。
(前提)
|
⇒ 上記のケースにおいて、雇用者A~Gについて、以下の図で青又は赤に色付けされた部分の金額を算出します。
(3)教育訓練費とは(※2)
国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用のうち一 定のものをいいます。具体的には、法人が教育訓練等を自ら行う場合の費用(外部講師謝金等、外部 施設使用料等)、他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合の費用(研修委託費等)、他の者が行う教育訓練等に参加させる場合の費用(外部研修参加費等)などをいいます。
(4)控除対象新規雇用者給与等支給額とは(※3)
国内の事業所において新たに雇用した者(支配関係がある法人から異動した者及び海外から異動した者を除きます。)に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等(注2)の支給額をいいます。 ただし、雇用者給与等支給額(注3)から比較雇用者給与等支給額(注4)を控除した金額を上 限とするとともに、地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(地方拠 点強化税制における雇用促進税制)の適用がある場合には、所要の調整を行います。
(注3)雇用者給与等支給額とは、賃金台帳に記載された全ての国内雇用者に対する給与等の支給額をいいますが、使用人兼務役員を含む役員 及び役員の特殊関係者は含まれません。
(注4)比較雇用者給与等支給額とは、 前期の雇用者給与等支給額をいいます。
(5)法人税額等とは(※4)
法人税又は所得税の額をいいます。(出典:経済産業省経済産業政策局産業人材課)
(文責:税理士法人FP総合研究所)