【No341】中小企業経営強化税制 概要と手続き

 中小企業経営強化税制は、A類型(生産性向上設備)、B類型(収益力強化設備)、C類型(デジタル化設備)の3つの類型により成り立っています。税制の適用には主務大臣の認定書が必要ですが、主務大臣に認定の申請する際には、工業会の証明書や経済産業省の確認書が必要です。

1.制度の概要

 青色申告書を提出する中小企業者等が、指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得等して指定の事業に供した場合、即時償却又は取得価額の10%(資本金が3,000万円超1億円以下の場合には7%)の税額控除を選択適用することができます。

(1)中小企業者等とは

・資本金又は出資の額が1億円以下の法人

・資本金又は出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人

・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人

・協同組合等

但し、以下の法人を除きます。

イ. その発行済株式又は出資(自己の株式又は出資を除きます。)の総数又は総額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人

ロ. 上記イのほかその発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人

ハ. 前3事業年度の所得金額の平均額等が15億円を超える法人

(2)指定期間とは

平成29年4月1日から令和5年3月31日までの期間です。

(3)一定の設備とは

2.適用手続き

(1)A類型(生産性向上設備)

 中小企業者等は、当該設備を生産した機器メーカー等に「工業会の証明書」の発行を依頼します。通常、機械等の販売をする営業マンは、工業会の証明書の発行の段取りをしてくれる場合が多いので、機械等を購入する場合には、工業会の証明書が発行してもらえるかどうか確認することが重要です。

 主務大臣への経営力向上計画の認定の際には、その工業会の証明書を添付して認定の申請をします。

(2)B類型(収益力強化設備)

 「工業会の証明書」が発行されない場合でも、所轄の経済産業省に「確認書」を発行してもらうことで、主務大臣へ計画の認定の申請を行うことができます。「工業会の証明書」と同等の効果となります。「確認書」申請の際には、投資計画や税理士等による事前確認書が必要となります。

 対象設備の投資総額が、翌3事業年度の年平均投資利益率が5%以上となることが見込まれる(基準への適合状況要件)ことが必要です。尚、「確認書」は、設備の取得前に発行してもらう必要があります。申請から確認書の発行まで、1月位の余裕をもって、申請する必要があります。従前は、事前予約制の対面審査でしたが、コロナ下、郵送のみの受付となっています。郵送の前日に、郵送の旨の電話連絡をしてください。(近畿経済産業局の場合)

*1 会計上の減価償却費

*2 設備の取得等をする年度の翌年度以降3年度の平均額

*3 設備の取得等をする年度におけるその取得等をする設備の取得価額の合計額

(3)C類型(デジタル化設備)

 所轄の経済産業省に「確認書」を発行してもらうことで、主務大臣へ計画の認定申請を行うことができます。B類型と同じ手続きとなりますが、「事前確認書」については、認定経営革新等支援機関による確認が必要となります。

3.資産の取得時期について(中小企業経営強化税制A・B・C共通)

 経営力向上設備については、以下のとおり、経営力向上計画の認定後に取得することが原則です。原則に従うことができない場合には、設備取得日から一定期間内に経営力向上計画が受理される必要がありますので例外をご確認下さい。

【原則】経営力向上計画の認定を受けてから設備を取得

【例外】設備取得後に経営力向上計画を申請する場合

 設備を取得した後に経営力向上計画を申請する場合には、設備取得日から60日内に経営力向上計画が受理される必要があります。また税制の適用を受けるためには、制度の適用を年度単位でみることから、遅くとも当該設備を取得し事業の用に供した年度(各企業の事業年度内に認定を受ける必要があります。)

4.経営力向上計画の策定

 「工業会の証明書」又は「経済産業省の確認書」の取得ができたら、主務大臣の認定を受けるために経営力向上計画の策定をします。

①「日本標準産業分類」で、該当する分野を確認します。

https://www.e-stat.go.jp/SG1/htoukeib/TopDisp.do?bKind=10

※計画書に記載する必要がありますので、上記サイトで自社の事業分野を検索してご確認ください。

②事業分野に対応する事業分野別指針を確認

・「事業分野別指針」が策定されている事業分野(業種)については、当該指針を踏まえて策定いただく必要があります(策定されていない事業分野は「基本方針」)。

・「事業分野別指針」「基本方針」は以下のURLからダウンロードできます。

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/kihonhoushin.html

③事業分野別指針(または基本方針)を踏まえて経営力向上計画の策定

➤申請様式類は以下のURLからダウンロードできます。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/

(中小企業庁ホームページ→経営サポート→経営強化法による支援→経営力向上計画の認定申請等について)

5.経営力向上計画の申請

(1)申請書類

① 申請書(原本)② 申請書(写し)*都道府県に提出する場合に限ります。

③ チェックシート

④ 返信用封筒 *都道府県経由での申請の場合には④の返信用封筒に加えて転送用封筒を併せて提出

⑤ 税制措置を受ける場合には、A類型の場合は工業会の証明書

⑥   〃  B類型・C類型の場合は、投資計画の確認申請書及び経済産業省の確認書

(2)申請先

 事業分野ごとの申請先については、以下のURLをご確認ください。

 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/

(中小企業庁ホームページ→経営サポート→経営強化法による支援→事業分野と提出先)

(3)申請方法

 紙申請の方法であれば、上記の窓口への提出、郵送が可能です。

 電子申請でも可能ですので、以下のURLへお問い合わせ下さい。

(電子申請の方法①)経営産業局及び一部の省庁が窓口の場合は、下記URLの経営力向上計画申請プラットフォームから電子申請が可能です。

https://keieiryoku.go.jp/

(電子申請の方法②)経済産業局が窓口の場合は、下記URLの政府の総合窓口e-Gov(イーガブ)から電子申請が可能です。

出典:中小企業庁(中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き)

   :中小企業庁(中小企業等経営強化法 経営力向上計画策定の手引き)

(文責:税理士法人FP総合研究所)