【No320】中小企業経営者が毎月確認すべき経営指標 その1

 企業経営者は、現在の自社の業績と外部環境とを勘案し、経営の意思決定を速やかに行う必要があります。そのためには、自社の現在の業績は常に把握しておかなければなりません。そこで、読み解くことが難解な財務諸表を可視化し、感覚的に理解することが欠かせません。そこで、自社の業績を的確に把握するためのツールを5回にわたってご紹介いたします。

 第1回目は、自社の利益の源泉となる「売上高」を理解するためのグラフです。

1.売上高三期比較グラフ

 過去三期の売上高を、各月毎に棒グラフにしたものが「売上高三期比較グラフ」です。

 企業の利益の源泉となるのは売上げです。売上げがなければ、利益が計上されることはありません。

 自社の売上高がどのように推移しているのかを、このグラフで確認してください。

ポイント

売上高三期比較グラフで確認していただきたい事項は以下のとおりです。

 ① 当期の売上金額

 ② 当期の売上高が前期に比べて増加しているか、あるいは、減少しているのか

 ③ 売上にイレギュラーな増減があった場合、その理由は把握できているか

2.累計グラフ(売上高累計グラフ・粗利益累計グラフ・経常利益累計グラフ)

 累計グラフとは、期首月からの指数(※)を積上げ計算し、それを折れ線グラフとしてあらわしたものです。

 この折れ線グラフを前期・前々期の実績と重ね合わせれば「三期比較累計グラフ」(下の図の左部分)となり、自社が設定した予算と重ね合わせると「予算実績対比累計グラフ」(下の図の右部分)になります。

 (※)指数を売上高に限定すれば「売上高累計グラフ」となります。売上高・粗利益・経常利益の累計グラフを作成することで、会社の状況をより良く把握することが可能となります。

ポイント

累計グラフで確認していただきたい事項は以下のとおりです。

 ① 当期の指数が前期・前々期と比較してどの位置にあるか

 ② 当期の指数が予算と比較してどの位置にあるか

(文責:税理士法人FP総合研究所)