【No313】国税における新型コロナウィルスに関連した申告期限の取扱いについて
国税庁は12月15日に「国税における新型コロナウィルス感染症拡大防止への対応と申告や納税など当面の税務上の取り扱いに関するFAQ」につき、申告・納付期限の個別延長に関する内容につき情報を更新していますので、今回はこれらの内容につきご説明させていただきます。
1.提出期限を延長した令和元年分の確定申告の取扱いについて
新型コロナウィルス感染症拡大防止の見地から、令和元年分の申告所得税、贈与税及び消費税の申告のうちその申告期限が令和2年2月27日から同年4月15日までの間に到来するものについては、当該申告期限を令和2年4月16日(木)まで延長するとともに、更にその期限に間に合わない場合については、4月27日以降であっても申告書の作成や提出が可能となった時点で税務署に申し出れば個別に期限延長の取扱いをすることとされました。これらの期限延長の対象となる手続については、申告・納付手続に限らず、税務署長に対する各種申請、請求、届出その他の書類の提出についても含まれております。
上記のような理由により令和元年分の確定申告をまだ行っていない場合の申告期限については、今回のFAQにおいて令和2年分の確定申告を行うまでに申告を行うことととされています。もし令和2年分確定申告の申告期限以降に申告した場合には、令和元年分の申告につき「申告をすることができないやむを得ない理由があったとは認められない」こととなるため原則として期限後申告として取り扱われることとなります。
また令和元年の申告書提出前に令和2年分確定申告書に限らず他の申告書や申請書等の提出があった場合においても上記と同様にやむを得ない理由があったとは認められず、期限後申告が確定することとなりますので注意が必要です。
なお令和元年分の確定申告が申告義務のない還付申告等である場合には5年間の提出が可能となりますので、令和2年分の申告期限後に申告しても問題はありません。(還付申告はその年分の翌年1月1日から5年間の間に提出できます。)
2.法人税又は消費税の中間申告期限の個別延長について
法人税及び消費税の中間申告については前期の確定した税額から中間申告に係る税額を計算するもの(以下「通常の中間申告」という)と、中間期間を一つの事業年度とみなして確定申告と同様に法人税や消費税を計算するもの(以下「仮決算による中間申告」という)の二通りがあります。
①申告書の提出期限の延長について
新型コロナウィルスの影響により当期の業績が前期と比較して悪化しているような場合には「通常の中間申告」に代えて、「仮決算による中間申告」を検討することとなりますが、「通常の中間申告」と「仮決算による中間申告」の納付税額を比較検討するための時間が十分に確保できないことや「仮決算による中間申告」の申告書作成に時間を要するなど通常の業務体制が維持できない場合など新型コロナウィルスの影響によりその提出期限までの提出が困難な場合には、その提出期限の延長が認められることとなります。
②事後的な提出期限延長の申請手続きについて
提出期限までに中間申告書を提出することが困難な場合には、中間申告の提出ができることとなった時点で、中間申告書の提出の際にその余白部分に提出期限の延長申請である旨を記載し提出することで事後的に提出期限の延長が認められることとなります。
なお中間申告書の提出困難な状態が確定申告書の提出期限まで続く場合には、その中間申告書の提出は不要となり、確定申告書を提出する際に確定申告書の余白に中間申告書は新型コロナウィルスの影響により提出できなかった旨を記載することで、中間申告により納付する法人税及び消費税は発生しないこととなります。
③中間申告書のみなし提出について
前記の様な事情がなく中間申告書を提出期限までに提出することが可能な場合において、中間申告書の提出期限までにその提出がなかったときには、その提出期限において「通常の中間申告」に係る中間申告書の提出があったものとみなされることとなり、この場合にはその提出期限において通常の中間申告に係る納付税額が確定することとなります。
中間申告については申告書の提出がない場合には、コロナウィルスの影響により申告期限の延長を検討している場合においても、中間申告書や確定申告書に新型コロナウィルスによる延長申請である旨の適切な記載がない場合には中間申告書のみなし提出と判断され納税額が確定されることとなりますので注意が必要です。
(文責:松原 健司)