【特別編】新型コロナウィルス感染症緊急経済対策 ~税制面からの支援について~その4
前回に引き続き、新型コロナウィルス感染症緊急経済対策 の税制面からの支援のご案内をいたします。
雇用維持からの支援:概要
雇用に関する助成金、給付金については、通常時においても定められています。
この資料でまとめているのは、コロナウィルス対策として新たに、または、特例的に定められたものを記載しています。
■雇用調整助成金
通常時の助成金制度とは異なり、対象業者や手続き関係書類の簡素化、助成率の拡大が図られています。
■働き方改革推進支援助成金のうちコロナウィルス対策で要件が緩和等されているもの
①テレワークコース
②職場意識改善特例コース
※通常時の助成金に関しては上記の他「労働時間短縮・年休推進支援コース」や「団体推進コース」があります。
■新型コロナウィルス感染症による小学校休業等対応助成金
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、小学校等が臨時休業した場合等に、その小学校等に通う子の保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、有給の休暇(年次有給休暇を除く。)を取得させた事業者に対する助成金が創設されました。
併せて、同様の状況下において委託を受けて個人で仕事をする事業者向けも創設されました。
なお、この制度は対象となる休暇取得の期間が3月31日までとなっていましたが休暇取得等の期限を延長し、令和2年4月1日から6月30日までの間に取得した休暇についても支援が行われる予定です。
雇用調整助成金(特例措置)
経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業手当に要した費用を助成する制度
◆感染拡大防止のため、4月1日~6月30日の緊急対応期間中は、全国で、全ての業種の事業主を対象に雇用調整助成金の特例措置が実施されます。
また、通常の場合は事業所設置後1年未満の事業主は支給対象となりませんが、令和2年1月以降に設置された雇用保険適用事業所についても助成対象となります。
通常の場合 |
新型コロナウィルス感染症特例措置(4月1日~6月30日まで) 感染拡大防止のため、上記期間中は、全国で以下の特例措置を実施 (最大:1日8,330円/人) |
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特例措置 | 更なる拡充(5月1日付) | |
経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主 |
新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主 |
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生産指標要件3ヶ月10%以上低下 |
生産指標要件を緩和(1ヶ月5%以上低下) |
左記において、前年同月とは適切な比較ができない場合は、前々年同月との比較や、前年同月から12ヶ月のうち適切な1ヶ月との比較が可能 |
雇用保険被保険者が対象 |
雇用保険被保険者でない労働者の休業も助成金の対象に含めます。 |
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助成率2/3(中小)1/2(大企業) |
4/5(中小)2/3(大企業) 解雇等を伴わない場合は9/10(中小)3/4(大企業) |
①解雇等を伴わない場合は10/10(中小のみ) ②①のうち下記要件を満たす場合は、手当全体の助成率を10/10とします。 ◆都道府県の要請による休業等を行っている ◆100%の休業手当を支払っていること※ |
計画届は事前提出 |
計画届出の事後提出を認める(~6月30日まで) |
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1年のクーリング期間が必要 |
クーリング期間を撤廃 |
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6ヶ月以上の被保険者期間が必要 |
被保険者期間要件を撤廃 |
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支給限度日数1年100日、3年150日 |
同左+上記対象期間 |
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短期間一斉休業のみ 休業規模要件1/20(中小)1/15(大企業) |
短時間休業の要件を緩和 併せて、休業規模要件を緩和(1/40(中小)1/30(大企業) |
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残業相殺 |
残業相殺を停止 |
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教育訓練が必要な被保険者に対する教育訓練 助成率2/3(中小)1/2大企業加算額1,200円 |
4/5(中小)2/3(大企業) 解雇等を伴わない場合は9/10(中小)3/4(大企業) 加算額2,400円(中小)1,800円(大企業) |
上記休業手当に関する助成と併せて教育訓練に係る助成金を含めた場合も上記※と同様になります。 |
雇用調整助成金(対象となる事業主)
本助成金を受給する事業主は、次の1~2の要件を満たしていることが必要です。また、3に該当していないことが必要です。
1.雇用調整の実施要件
本助成金の特例は「新型コロナウィルス感染症の影響」により、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、その雇用する対象労働者の雇用の維持を図るために、「労使間の協定」に基づき「雇用調整(休業)」を実施する事業主が支給対象となります。
具体的には、上記の朱記部分についてそれぞれ次の①~③を満たしていることが必要です。
①「新型コロナウィルス感染症の影響」とは
次のような理由により経営環境が悪化し、事業活動が縮小していることをいいます。
【一例】
・観光客のキャンセルが相次いだことにより、客数が減り売上が減少した。
・市民活動が自粛されたことにより、客数が減り売上が減少した。
・行政からの営業自粛要請を受け、自主的に休業を行ったことにより、売上が減少した。など
②「事業活動の縮小」とは
売上高または生産量などの事業活動を示す指標の最近1ヶ月間の値が前年同月比(※)5%以上減少していること。
※事業所を設置して1年に満たず、前年同期と比較できない場合は、令和元年12月との比較⇒前年同月から12ヶ月のうち適切な1ヶ月との比較が可能
※災害その他やむを得ない事情で比較対象月にすることが適当でない場合は、前々年同月との比較
③「労使間の協定」とは
本助成金は、雇用調整(休業)の実施について労使間で事前に協定し、その決定に沿って雇用調整を実施することを支給要件としています。労使協定は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場合には労働者の過半数を代表とする者との間で書面により行う必要があります。
2.その他の要件
本助成金を受給する事業主は、次の要件を満たしていることが必要です。
①雇用保険適用事業主であること
②「受給に必要な書類」について
ア)その書類を整備し、イ)受給のための手続きに当たって労働局等に提出するとともに、ウ)保管して労働局等から提出を求められた場合にそれに応じて速やかに提出すること。
③労働局等の実地調査を受け入れること
3.不支給要件
本助成金を受給する事業主は、次のいずれの場合にも該当していないことが必要です。
①平成31年3月31日以前に申請した雇用関係助成金について不正受給による不支給決定又は支給決定の取り消しを受けたことがあり、当該不支給決定日又は支給決定取り消日から3年を経過していない。
②平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金について不正受給による不支給決定又は支給決定の取り消しを受けたことがあり、当該不支給決定日又は支給決定取消日から5年を経過していない。
③平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金について不正受給に関与した役員等がいる。
④支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度における労働保険料の滞納がある。
⑤支給申請日の前日から起算して過去1年において、労働関係法令違反により送検処分を受けている。
⑥暴力団又は暴力団員又はその関係者である。
⑦事業主等又は事業主等の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行った又は行う恐れがある団体等に属している。
⑧倒産している。
⑨雇用関係助成金について不正受給を理由に支給決定を取り消された場合、労働局が事業主名簿等を公表することに承諾する。
雇用調整助成金(必要書類)
◆計画届に必要な書類(休業の場合)6月30日まで事後提出可能
書類名 | 簡素化内容 |
様式第1号(1)休業等実施計画(変更)届 |
事後提出(申請時に提出)を可能にします |
様式第1号(2)雇用調整事業所の事業活動の状況に関する申出書 |
確認書類は「売上」がわかる既存書類(売上簿、営業収入簿、会計システムの帳票)のコピーで可能にします。 |
確認書類①休業協定書・教育訓練協定書 |
労働者代表選任届に添付を求めていた個別の委任状は不要になります。 |
確認書類②事業所の状況に関する書類 |
・既存の労働者及び役員名簿のみで可能 ・中小企業の人数要件を満たせば、資本額を示す書類は不要です。 |
◆支給申請に必要な書類(休業の場合)
書類名 | 簡素化内容 |
様式第5号(1)支給申請書 |
・自動計算機能付様式とし、記載事項を大幅に削減 ・事業所の所在地等の記載は省略可 |
様式第5号(2)助成額算定書 |
・自動計算機能付様式とし、記載事項を大幅に削減 ・残業相殺の停止により、残業時間の記載不要 |
様式第5号(3) 休業・教育訓練計画一覧表及び所定外労働時間等の実施状況に関する申出書 |
・日付毎の記載は不要とし、日数合計のみで可能 ・残業相殺の停止により、残業時間の記載不要 |
共通要領様式1号支給要件確認申立書 |
簡易に回答可能な様式に変更 |
確認書類②労働・休日及び休業・教育訓練の実施に関する書類 |
・出勤簿、タイムカード以外にも、手書きのシフト表などでも可能 ・給与台帳以外にも、給与明細の写しなどでも可能 |
雇用調整助成金(手続きの流れ)
計画届の提出や支給申請は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークです。郵送提出も可能です。
特例として、計画届の提出は休業の実施後(事後提出)でも可能です
働き方改革推進支援助成金「旧時間外労働等改善助成金」
生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む中小企業・小規模事業者などに対して助成する制度で、中小企業における労働時間の設定の改善の促進を目的としています。
◆働き方改革推進支援助成金:テレワークコース
概要 | ||||||||||||||||
対象事業主 |
新型コロナウィルス感染症対策としてテレワークを新規(※)で導入する中小企業事業主 ※試行的に導入している事業主も対象となります。 |
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中小企業事業主 |
労働者災害補償保険の適用中小企業事業主であること 中小企業事業主とは、以下のAまたはBの要件を満たす中小企業となります。
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助成対象の取組 (いずれか1つ以上実施) |
・テレワーク用通信機器(※)の導入・運用 ※パソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象外、レンタル・リース料は対象(5月31日までに利用、支払った費用) ・就業規則、労使協定等の作成・変更 ・労務管理担当者に対する研修 ・労働者に対する研修、周知、啓発 ・外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング等 |
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主な要件 |
事業実施期間中に、 ・助成対象の取組を行うこと ・テレワークを実施した労働者が1人以上いること |
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事業実施期間 |
令和2年2月17日~5月31日 |
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支給額 |
補助率=1/2(1企業あたりの上限額:100万円) |
新型コロナウィルス感染症対策の1つとして、病気休暇制度や、子どもの休校・休園に関する特別休暇制度を整備し、従業員が安心して休める環境を整備することが重要です。このコースでは、特別休暇制度を新たに整備のうえ、特別休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業の支援を目的としています。
◆働き方改革推進支援助成金:職場意識改善特例コース
概要 | |
対象事業主 |
新型コロナウィルス感染症対策として、1.特別休暇の規定を新たに整備、または、2.助成対象の取組を実施すること |
中小企業事業主 |
労働者災害補償保険の適用中小企業事業主であること 中小企業事業主とは、以下のAまたはBの要件を満たす中小企業となります。 |
支給対象の取組 (いずれか1つ以上実施) |
①労務管理担当者に対する研修(業務研修も含みます) ②労働者に対する研修、周知、啓発 ③外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング ④就業規則等の作成・変更 ⑤人材確保に向けた取組 ⑥労務管理用ソフトウェアの導入・更新 ⑦労務管理用機器の導入・更新 ⑧デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新 ⑨テレワーク用通信機器の導入・更新※パソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は対象外 ⑩労働能率の増進に資する設備、機器等の導入・更新 例)小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など |
事業実施期間 |
令和2年2月17日~5月31日 |
支給額 |
取組の実施に要した経費の一部を支給します。 次のいずれか低い方の額 ①対象経費の合計額×補助率3/4(注) ②1企業当たりの上限額:50万円 (注)常時使用する労働者が30名以下かつ、支給対象の取組で⑥~⑩を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5 |