【特別編】新型コロナウィルス感染症緊急経済対策 ~税制面からの支援についてその1~
緊急経済対策に織り込まれた税制措置
- 納税の猶予制度の特例
- 欠損金の繰戻しによる還付の特例
- 中小企業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び 都市計画税の軽減措置
- 生産性革命の実現に向けた固定資産税の特例措置の拡充・延長
- テレワーク等のための中小企業の設備投資税制
- 文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対する払戻請求権を放 棄した観客等への寄附金控除の適用
- 自動車税・軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長
- 住宅ローン控除の適用要件の弾力化
- 耐震改修した住宅に係る不動産取得税の特例措置の適用要件の弾力化
- 消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例
- 特別貸付に係る契約書の印紙税の非課税
申告期限の延長、納税の猶予制度
1.申告(納税)が困難な方
個人・法人全ての方が対象 | ||
申告・納税期限の延長 | 全事業者 |
申告が必要な以下の税目が対象 ・申告所得税・法人税・消費税・贈与税・相続税 ⇒申告期限以降も柔軟に受付 ★基本的には、延滞税・利子税は発生しません。 ★申告書の作成又は来署することが可能になった時点での税務署への申出で受付けます。 |
2.税金支払いが困難な方
個人・法人全ての方が対象 | ||
納税の猶予 | 事業収入が20%以上減少 |
2020年2月から納期限までの一定の期間(1ヶ月以上)において、事業収入が減少(前 年同月比概ね20%以上) ⇒無担保+延滞税なしで1年間納税猶予 |
個別事情による場合 |
●原則、1年間猶予(状況に応じて更に1年間猶予される場合があります) ●猶予期間中の延滞税の全部又は一部が免除 ●財産の差押えや換価(売却)が猶予 ※税務署において所定の審査が行われます ※個別の事情とは・・・ ①災害により財産に相当な損失が生じた場合、②ご本人又はご家族がり患した場合 ③事業を廃止し、又は休止した場合 ④事業に著しい損失を受けた場合 |
欠損金の繰り戻し還付
1.欠損金の繰戻し還付制度
資本金1億円以下の中小企業は、前年度黒字で今年度赤字の場合、前年度に納付した法人税の一部還付を受け ることができます。 今般、本制度の適用対象を、資本金10億円以下の中堅企業にも拡大します。
現行 | 特例 |
中小企業者(資本金1億円以下) | 資本金1億円超~10億円以下の法人に拡大 |
2.災害損失欠損金の繰戻し還付制度
新型コロナウィルス感染症の影響により損失が発生した場合には、災害損失欠損金の繰戻による法人税額の還 付を受けることができる場合があります。
※災害損失欠損金の繰戻し還付制度とは、災害により災害損失が生じた法人について、災害のあった日から同 日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額を、その災害欠損事業年 度開始の日前1年(青色申告書を提出する法人である場合には、前2年)以内に開始した事業年度に繰戻して法 人税の還付を受けることができる制度です。
※災害損失欠損金とは
・飲食業者等の食材廃棄損
・感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
・施設や備品などを消毒するために支出した費用
・感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
・イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損
固定資産税等の軽減
1.固定資産税・都市計画税の納税猶予と減免
中小企業・小規模事業者の税負担を軽減するため、事業者の保有する設備や建物等の2021年の固定資産税 及び都市計画税を、事業収入の減少幅に応じて、ゼロ又は1/2とします。
また、2020年の固定資産税及び都市計画税は、2020年2月~納付期限までの任意の1ヶ月以上の事業収入 が前年同期比20%以上減少を要件とし、1年間の納税猶予が可能です(土地・家屋・償却資産全てが対象)。
※減免対象
・設備等の事業用家屋及び償却資産に対する固定資産税(注:土地は対象外)
・事業用家屋に対する都市計画税
2020年2月~10月までの任意の連続した3ヶ月間 の収入の対前年比較同期比減少率 | 減免率 |
30%以上50%未満の減少 | 2分の1 |
50%以上の減少 | 全額 |
2.固定資産税の特例の拡充・延長
現在、中小企業・小規模事業者が新たに投資した設備については、自治体の定める条例に沿って、投資後3 年間、固定資産税が免除されますが、今般、本特例の適用対象に、事業用家屋と構築物を追加するとともに、 2021年3月末までとなっている適用期限を2年間延長します。
対象地域 | 対象設備 | 特例措置 |
全国1,646自治体 ※導入促進基本計画の 同意を受けた市町村 |
機械装置・器具備品などの償却資産 ※旧モデル比で精算性が年1%以上向上するもの |
固定資産税について、投資後 3年間、ゼロ~1/2に減額 |
事業用家屋と構築物を対象追加 ・事業用家屋は取得価額の合計額が300万円以上の先端設備等とともに導入 されたもの ・構築物は、旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上するもの ※既に「先端設備等導入計画」の申請をしている場合は、計画を変更し、事業用家 屋と構築物の導入について同計画中に位置付ける必要があります。 |
次回【特別編】新型コロナウィルス感染症緊急経済対策 ~税制面からの支援についてその2~へ続きます。