【No994】令和7年 公示価格発表

令和7年3月18日に国土交通省より令和7年地価公示が発表されました。地価公示とは、地価公示法に基づき毎年1月1日時点の地価(「正常な価格」)を、住宅地・宅地見込地・商業地・準工業地・工業地・市街化調整区域内宅地などの地域に分け、不動産鑑定士等が評価し国土交通省が3月中旬頃に公表するものであり、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取引価格の算定等の規準とすることを目的に行われています。令和7年の標準地の設定数は、市街化区域20,582点、市街化調整区域1,362地点、その他の都市計画区域4,040地点、都市計画区域外の公示区域16地点の計26,000地点となっています。

<令和7年公示価格の動向>

令和5年から令和7年の公示価格を前年と比較した変動率は以下のとおりです。

都道府県地価調査との共通地点における半年ごとの地価変動率の推移は以下のとおりです。

【全国平均】

全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅が拡大しました。

全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が続いています。

【三大都市圏平均】

三大都市圏平均でみると、全用途平均・住宅地は、東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅が拡大しました。東京圏及び大阪圏では上昇幅の拡大傾向が継続していますが、名古屋圏では上昇幅がやや縮小しました。

【地方圏平均】

全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇しました。また、地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では上昇幅がやや縮小したが、その他の地域では概ね拡大傾向が継続しています。

【概括】

住宅地については、低金利環境の継続などにより、引き続き住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続しています。特に、東京圏や大阪圏の中心部などにおいて高い上昇を示しています。交通利便性や生活利便性に優れ、転入者が多い地域では、堅調な住宅需要に支えられ、比較的高い上昇が継続しています。また、リゾート地・観光地では、外国人向けの別荘・コンドミニアム需要や地元の住宅需要などを背景に、引き続き高い上昇となった地点が見られます。

商業地については、主要都市では、店舗・ホテルなどの需要が堅調であり、オフィスについても空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向によって収益性が向上していることなどから、地価上昇が継続しています。駅周辺などマンション需要との競合が見られる地域では、高い上昇を示しています。外国人を含めた観光客が増加した観光地では、引き続き高い上昇となった地点が見られます。また、再開発事業等が進展している地域では、利便性や賑わいの向上への期待感などから、地価上昇が継続しています。

地価公示は、相続税や固定資産税等の評価額に広く影響を及ぼすことから、今後も継続して動向を注視する必要がありそうです。

(文責:税理士法人FP総合研究所)