【No978】令和6年の基準地価の動向について
令和6年9月17日に令和6年の地価調査結果が公表されましたので、その内容をご紹介します。
基準地価とは、国土利用計画法による土地取引の規制を適正かつ円滑に実施するため、基準地の毎年7月1日時点の地価について不動産鑑定士の評価を踏まえて都道府県知事が正常価格の判定をし、国土交通省が9月中頃に発表するものです。令和6年の調査対象の基準値数は、宅地が21,003地点、林地が433地点で全国の計21,436地点となっています。
なお、似たような調査に「地価公示」がありますが、こちらは地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示しているものです。
令和4年から令和6年の基準地価を前年と比較した変動率は下記のとおりです。
全国平均の地価は、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。
国土交通省は上記傾向となった要因が、住宅地については「低金利環境の継続などにより、引き続き住宅需要は堅調で、地価上昇が継続している」「人気のリゾート地では、別荘等に加えて移住者用住居等の需要が増大し、引き続き高い上昇となった地点が見られる」「鉄道新路線等の開業による交通利便性の向上等を受け、上昇幅が拡大した地点が見られる」とし、商業地については「主要都市では、店舗等の需要が堅調であり、オフィスについても空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向によって収益性が向上していることから、地価上昇が継続している」「観光客が回復した観光地では高い上昇となった地点が見られる」「都市中心部付近では、マンション需要との競合により引き続き高い上昇となった地点が見られる」と分析しています。
三大都市圏においても、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇率が拡大しました。
全国の商業地の上昇率上位10位のうち5地点を熊本県が占める結果となりました。これは世界的半導体メーカーの工場建設が関連企業の進出などを引き起こして周辺地域の基準地価を押し上げた事によるものと思われます。
(文責:税理士法人FP総合研究所)