【No956】固定資産税評価額の評価方法とその評価替えについて
土地及び家屋の固定資産税を算定する基準となる固定資産税評価額は3年に一度評価替えが行われ、令和6年度が評価替えの対象となる年度となります。これについて、固定資産税評価額がどういった方法で算出され、どのように評価替えが行われるかを解説します。
1.評価替え年度
固定資産税は「適正な時価」を標準として課税されるべきもので、本来であれば毎年度評価替えを行う必要があります。しかし、膨大な量の土地、家屋について毎年度評価を見直すことが困難であることから、「総務大臣が定めた固定資産評価基準(以下「評価基準」とします。)」に基づき、土地及び家屋については3年ごとに評価額を見直す制度がとられています。
2.評価額算定と評価替え
土地及び家屋の固定資産税評価額の算定と評価替えによる価額の変動は、次の方法により算出されることとなります。
(1)土地について
①評価額の算定
土地の評価額は、評価基準に基づき、一般的に次のように行います。
まず、主要な街路に沿接する宅地のなかから標準宅地を選定します。その標準宅地の適正な時価を、地価公示価格及び不動産鑑定士による鑑定評価から求められた価格等の7割を目途に評価します。そして、標準宅地に沿接する主要な街路の路線価に比準させ、その他の街路に路線価を付設します。その路線価を基礎としてそれぞれの土地ごとに画地計算を適用して評価額を求める方法となっています。
②評価替え
評価替えの年度には、この標準宅地の適正な時価を見直し、それに伴い路線価を見直すこととなります。つまり、地価公示価格が上昇していればおのずと路線価も上昇し、固定資産税評価額が上昇することとなります。
(2)家屋について
①評価額の算定
家屋の評価額は、不動産の買入価格や建築工事費ではなく、評価基準によって評価します。(評価基準には、一般的な家屋に使用される資材や設備に点数が設定された再建築費評点基準表があり、どのような資材を使い設備がどれだけ施工されているかを確認し評価します。)
評価基準では、再建築価格を基準として評価する方法が採用されています。この方式は、まず評価の時点において、評価の対象となった家屋と同一のものをその場所に新築するものとした場合に必要となる建築費を求めます。その建築費から当該家屋の建築後の経過年数に応じた減価を考慮し、その家屋の価格を求めるものです。
つまり、「再建築費評点数」に「地域に応じた物価水準と設計管理費、一般管理費等負担の費用(評点一点当たりの価額)」及び「経過年数に応じる減価率」を乗じて評価額を算出します。また、経過年数に応じる減価は、最終残価率を2割と設定しています。
②評価替え
評価替えの年度においても、上記の評価方法により評価します。その場合、新年度の評価額が前年度の評価額を上回る場合が考えられます。新基準年度の評価額と前年度の評価額とを比較し、新基準年度の評価額が前年度の評価額を下回る場合は、新基準年度の評価額として算定された額がそれ以降の課税年度の評価額となりますが、新基準年度の評価額が前年度の評価額を上回る場合は、前年度の評価額に据え置かれる措置が採られています。
固定資産税は、市町村による賦課課税となっているため、課税される内容を詳細に検証する方は少ないと考えられます。そのため、評価額算定における補正や、税額の算出に関する特例の適用が的確に行われていない場合があります。その場合に、審査申出や審査請求といった制度が活用するとよいでしょう。
(文責:税理士法人FP総合研究所)