【No953】確定申告の内容が間違っていた時の訂正手続
過去にご自身が提出された所得税の確定申告書を見返すタイミングがある際、見返してみると、満期保険金の申告漏れや不動産所得の計算誤り、あるいはふるさと納税の申告忘れなどに気付くことがあるかもしれません。
このような場合には、「修正申告」や「更正の請求」により当初申告の訂正手続を行うことができます。今回は、これらの訂正手続とそれに関連する附帯税についてご紹介します。
(1)納める税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合
原則として法定申告期限から5年以内の場合には、「更正の請求」という手続を行うことができます。これは、確定申告期限後に申告書に記載した税額等に誤りがあったことを発見した場合などで、申告等をした税額等が実際より多かったときに正しい額に訂正することを求める場合の手続です。具体的には、納税地の税務署長に対して、更正の請求書を提出することにより行います。
更正の請求を行った場合には、税務署においてその内容が検討され、納め過ぎの税金がある(繰越損失の金額が増える場合を含みます。)と認められたときには、減額更正がなされ税金が還付されることとなります。
ただし、申告不要を選択(申告漏れを含みます。)した上場株式等の配当所得等について、後から更正の請求により、その申告内容を変更することはできませんのでご留意ください。
(2)納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合
確定申告書を提出した後で、税額を少なく申告していたこと等に気付いたときには、できるだけ早く「修正申告」をして正しい税額に修正する必要があります。また、修正申告により追加で納める税金は、修正申告書を提出する日が納期限となりますので、その日までに納める必要があります。
なお、修正申告を行った場合には、本税とは別に、次の(3)及び(4)の附帯税(ペナルティー)がかかる場合がありますのでご留意ください。
(3)過少申告加算税
過少申告加算税は、「申告期限内に提出された納税申告書に記載した金額が過少で修正申告又は更正があった場合」や「還付請求申告書に記載した金額が過大で修正申告又は更正があった場合」に課される加算税で、増差本税に対して10%(ただし、期限内申告相当額又は50万円のいずれか多い金額を超える部分の税額は15%)の課税割合で計算されます。(計算された過少申告加算税の額が5,000円未満の場合には、過少申告加算税を納付する必要はありません。)
ただし、修正申告又は更正前の税額計算の修正原因に正当な理由がある場合や調査通知前に更正がされることを予知しないで修正申告をしたときは、過少申告加算税は課されないこととされていますので、誤りに気付いた場合は自主的に修正申告を行うことで、過少申告加算税の負担を免れることができます。(調査通知後、更正予知前にされた修正申告の場合は、5%、あるいは10%の過少申告加算税がかかります。)
(4)延滞税
延滞税は、納付すべき国税を法定納期限までに完納しない場合に課される附帯税で、延滞税の額は、法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じ、次の①及び②により計算した金額の合計額となります。(納付すべき国税の額が1万円未満である場合や計算された延滞税の額が1,000円未満の場合は、延滞税を納付する必要はありません。)
①納期限の翌日から2月を経過する日までの期間
納付すべき本税の額に、「年7.3%」と「延滞税特例基準割合(※)+1%」のいずれか低い割合で計算した金額
②納期限の翌日から2月を経過した日以後
納付すべき本税の額に、「年14.6%」と「延滞税特例基準割合(※)+7.3%」のいずれか低い割合で計算した金額
※延滞税特例基準割合とは
各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。
なお、令和6年中の延滞税の割合は、①の期間が年2.4%、②の期間が年8.7%となっています。
延滞税に関しては、上記の過少申告加算税と異なり自主的に修正申告等を行った場合でも付加されますが、早めに申告することで延滞税の額を少なくすることができます。確定申告の間違いに気が付いたときは、できる限り早めの対応を心掛けましょう。
(文責:税理士法人FP総合研究所)