【No951】令和6年 公示価格発表

 令和6年3月26日に国土交通省より令和6年地価公示が発表されました。地価公示とは、地価公示法に基づき毎年1月1日時点の地価(「正常な価格」)を、住宅地・宅地見込地・商業地・準工業地・工業地・市街化調整区域内宅地などの地域に分け、不動産鑑定士等が評価し国土交通省が3月末頃に公表するものであり、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取引価格の算定等の規準とすることを目的に行われています。令和6年の標準地の設定数は、市街化区域20,560点、市街化調整区域1,375地点、その他の都市計画区域4,049地点、都市計画区域外の公示区域16地点の計26,000地点となっています。

<令和6年公示価格の動向>

令和4年から令和6年の公示価格を前年と比較した変動率は以下のとおりです。

都道府県地価調査との共通地点における半年ごとの地価変動率の推移は以下のとおりです。

【全国平均】

全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。

全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、地域や用途などにより差があるものの、三大都市圏、地方圏ともに上昇が継続するとともに、三大都市圏では上昇率が拡大し、地方圏でも上昇率が拡大傾向となるなど、上昇基調を強めています。

【三大都市圏平均】

三大都市圏平均でみると、全用途平均・住宅地は、東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。また、商業地は、東京圏、名古屋圏で3年連続で上昇し、上昇率が拡大するとともに、大阪圏でも2年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。

【地方圏平均】

全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。また、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも11年連続で上昇し、全用途平均・住宅地は上昇率が縮小しましたが、商業地は上昇率が拡大しました。その他の地域では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。

【概括】

住宅地については、土地中心部や生活利便性に優れた地域では、住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続しています。三大都市圏や地方四市の地価上昇に伴い、周辺部においても上昇の範囲が拡大しており、特に地方四市の周辺の市等では、高い上昇となった地点が見られます。また、鉄道新路線等の開業による交通利便性の向上などを受け、上昇率が拡大した地点が見られます。

商業地については、都市部を中心に、店舗需要は回復傾向にあり、また、堅調なオフィス需要やマンション用地需要等から地価の回復傾向がより進んでいます。三大都市圏や地方四市等の再開発事業等が進展している地域では、利便性・賑わいの向上への期待感から地価上昇が継続しています。また、インバウンドを含めた観光客が回復した観光地や、人流回復が進む繁華街では、地価の大幅な回復が見られます。

地価公示は、相続税や固定資産税等の評価額に広く影響を及ぼすことから、今後も継続して動向を注視する必要がありそうです。

(文責:税理士法人FP総合研究所)