【No916】令和5年分の路線価が公表されました
令和5年7月3日に国税庁より令和5年分の路線価が公表されました。各地区の路線価の詳細等は、国税庁のホームページで閲覧することができます。現在のホームページでは、平成29年分から令和5年分までの路線価を確認することができます。
(国税庁の路線価の掲載ページ:https://www.rosenka.nta.go.jp/)
1.路線価とは
路線価とは、土地の価格が概ね同一と認められる一連の土地が面している路線ごとに評価した1㎡当たりの価額をいいます。相続税や贈与税の申告のための財産評価を行う際の便宜及び課税の公平を図る観点から、毎年国税庁から公表されています。
毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として算定した価格の80%を目途に評価されます。
2.令和5年分の路線価の動向
路線価の全国平均は前年比で1.5%上昇し、2年連続の上昇となりました。インバウンド客の増加も見込んで上昇地点が広がり、コロナ渦からの回復傾向が鮮明となりました。
令和5年分の都道府県庁所在都市の最高路線価では、前年と比較して上昇した都市は29都市(前年15都市)で、前年から約2倍の増加となりました。また、下落した都市は4都市(前年16都市)で、全国的に上昇傾向であることがうかがえます。近畿圏においては、前年は大阪・神戸・奈良が下落傾向にあったものの、今年は前年から下落した都市はありませんでした。
なお、都道府県庁所在都市の最高路線価が全国で最も高かった都市は、今年も東京都中央区銀座の鳩居堂前で前年を1.1%上回り、3年ぶりの上昇となりました。
【令和5年分 都道府県庁所在都市の最高路線価(一部抜粋)】
3.今後の動向について
新型コロナウイルス感染症が5類に分類されたことにより、繁華街や観光地では人の出入りが増加しています。コロナ渦から落ち着きを取り戻したことをきっかけに、リモートワークの減少とともに都市部に人口が戻りつつあり、今後も都市部や近郊地を中心に路線価は上昇傾向にあると予想されます。一方で、地方からの人口流出は今後も加速すると考えられ、地域格差が拡大することが懸念されます。
(文責:税理士法人FP総合研究所)