【No912】令和4年分の所得税等の確定申告状況とe-Taxの利用状況について

 国税庁より令和4年分の「申告所得税及び復興特別所得税(以下、「所得税等」と表記)」の確定申告状況について報道発表がありました。今回は所得税等の確定申告状況とe-Taxを利用した所得税等の確定申告書の提出状況についてご説明します。

1.所得税等の確定申告書の提出状況

 令和4年分の所得税等の確定申告書を提出した方は2,295万1千人で令和3年分から0.4%増加しました。そのうち、申告納税額がある方は、653万4千人で令和3年分から0.5%減少し、還付申告の方は1,332万7千人で令和3年分から0.2%増加しました。申告納税額のある方の申告納税額は3兆6,801億円で令和3年分から2.9%減少しました。

 次に、令和4年分の所得税等に係る土地等の譲渡所得の申告をした方は、55万2千人で令和3年分から0.7%減少しました。そのうち所得金額がある方は37万2千人で令和3年分から1.8%増加し、その所得金額は5兆4,392億円で令和3年分から12.1%増加しました。

 また、令和4年分の所得税等に係る株式等の譲渡所得の申告をした方は、108万3千人で令和3年分から3.3%減少しました。そのうち所得金額がある方は48万9千人で令和3年分から21.3%減少し、その所得金額は4兆630億円で令和3年分から11.0%減少しました。

【所得税等の確定申告書の提出状況および申告納税額の推移】

注1:令和3年分は翌年4月末日まで、令和4年分は翌年3月末日までに提出された申告書の計数になります。

【土地等および株式等の譲渡所得の申告状況】

注2:令和3年分は翌年4月末日まで、令和4年分は翌年3月末日までに提出された申告書の計数になります。

注3:土地等については、総合譲渡所得に係る計数を含みます。

注4:株式等に係る申告人員のうち譲渡損失を翌年以降へ繰り越した方について、令和3年分は52万1千人、令和4年分は54万9千人で、令和4年分は令和3年分に比べ5.3%増加しました。

2.e-Taxを利用した所得税等の確定申告書の提出人員

 令和4年分の所得税等の確定申告人員は2,295万1千人、うちe-Taxによる申告人員は1,494万8千人で、確定申告人員全体のうち65.1%がe-Taxを利用して確定申告書を提出しており、令和3年の58.3%(令和3年分の所得税等の確定申告人員2,285万5千人、うちe-Taxによる申告人員1,332万9千人)から6.8%増加しました。

【所得税等の確定申告書のe-Taxによる提出人員】

注5:令和3年分は翌年4月末日まで、令和4年分は翌年3月末日までに提出された申告書の計数になります。

注6:「自宅等からのe-Tax」には自宅からの納税者本人による提出のほか、税理士による代理送信を含みます。

 令和4年分の所得税等の確定申告について、申告人員はわずかに増加しましたが、納税額は減少する結果となりました。またe-Taxの利用人員について、自宅等からのe-Tax利用人員について、さらに詳細をみればスマートフォン等を利用した提出人員について、令和4年分は249万人で、利用開始時の平成30年分の申告(12万6千人)から毎年増加しています。マイナンバーカード方式での送信(上記のスマートフォン等を利用した提出人員を含む)による提出人員についても令和4年分は386万6千人と、利用開始時の平成30年分の申告(47万3千人)から毎年増加しており、政府がマイナンバーカードの普及を促進したことが要因の1つとして考えられます。

 社会全体のデジタル化が年々進んでいることからも、今後もe-Taxによる申告が増加することが予想されます。

(文責:税理士法人FP総合研究所)