【No911】相続土地国庫帰属制度の概要について

 所有者不明土地の増加が社会問題となり、これを解消するための法律として「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(相続土地国庫帰属法)が成立し、これに基づき令和5年4月27日より「相続土地国家帰属制度」が施行されています。

 今回はその制度の概要について解説します。

1.制度のポイント

 相続土地国庫帰属制度のポイントは、以下のとおりです。

(1)相続等によって、土地の所有権又は共有持分を取得した者等は、法務大臣に対して、その土地の所有権を国庫に帰属させることについて、承認を申請することができます。

(2)法務大臣は、承認の審査をするために必要と判断したときは、その職員に調査をさせることができます。

(3)法務大臣は、承認申請された土地が、通常の管理や処分をするよりも多くの費用や労力がかかる土地として法令に規定されたものに当たらないと判断したときは、土地の所有権の国庫への帰属について承認をします。

(4)土地の所有権の国庫への帰属の承認を受けた方が、一定の負担金を国に納付した時点で、土地の所有権が国庫に帰属します。

(出典:法務省HPより)

2.申請の方法

 承認申請書は、以下のいずれかの方法で、帰属の承認申請をする土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門(登記部門)に提出します。

A 法務局の窓口に提出

 窓口申請の場合は、担当者の不在や窓口の混雑によりお待ちいただくことがあるため、できるだけ事前の連絡が推奨されています。

 また、申請者本人が訪問するのが通常ですが、訪問が困難な場合には、ご家族の方が代わりに訪問していただいても差し支えありません。

B 法務局に郵送で提出

 郵送申請の場合は、国庫帰属の申請書が入っていることを記した書留郵便(封筒と切手をご自身で用意)かレターパックプラスに申請書と添付書類等を入れて、土地の所在する法務局の本局まで送付してください。

3.審査手数料

 審査手数料の金額は、土地一筆当たり14,000円となります。

 申請時に、申請書に審査手数料額に相当する額の収入印紙を貼って納付します。

 手数料の納付後は、申請を取り下げた場合や、審査の結果却下・不承認となった場合でも、手数料は返還されませんのでご注意ください。

(文責:税理士法人FP総合研究所)